黒田日銀「緩和継続」の危うさ 欧米は金融引き締めに政策転換
欧州連合(EU)統計局が4月1日に発表した3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前年同月比7.5%上昇した。上昇率は前月の5.9%から加速し、過去最高を更新。ロイターがまとめたエコノミスト予想の6.6%も大幅に上回った。
欧州中央銀行(ECB)は、ロシア・ウクライナ戦争による消費者物価の上昇を受けて、資産購入による量的緩和(QE)を7月で終了する一方、中銀預金金利(現行マイナス0.5%)も、7月にも利上げに動くとの見方が強まっている。ユーロ圏のインフレ率はECBの物価目標(2%)の既に4倍近いペースに加速していたからだ。
米労働省が4月12日に発表した3月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比8.5%上昇と市場関係者を驚かせた。伸びは前月(7.9%)から勢いを増し、1981年12月以来約40年ぶりの高さとなった。
3月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、FF誘導金利目標を「0.25~0.5%」へと引き上げ(利上げは2018年12月以来)、金融引き締めへ政策転換した。声明文では「適切に引き締めの金融政策を通じ、物価安定と雇用の最大化を達成」とのフォワードガイダンスが追加され、物価が高止まりのうちは利上げを行う方針が示された。早ければ5月3~4日開催のFOMCで、追加利上げとともに保有資産を最大で月950億ドル圧縮するとみられ、これは2017年から19年にかけて行った量的引き締め(QT)のほぼ2倍のペース。さらに6月、7月のFOMCでも追加利上げが行われる公算が大きい。