プーチン大統領が食らう「大粛清」のしっぺ返し FSB職員150人追放措置に“ポストプーチン”動くか
身内の大粛清は政権崩壊の始まりか──。12日付の英紙タイムズは、ウクライナ侵攻の難航を受け、プーチン大統領がロシア情報機関「FSB(連邦保安局)」に所属する職員約150人を「追放」したと伝えた。侵攻前に嘘の情報を大統領府に報告した責任を問われ、ほとんどが解雇。中には、逮捕された職員もいるという。
追放されたのは、プーチン大統領がFSB長官在任中に設立された「第5局」の職員。ウクライナなど旧ソ連の構成国をロシアの勢力圏にとどめる役割を担う。同紙は「侵攻の失敗に対するプーチン大統領の怒りの表れだ」とし、「スターリン的な大粛清だ」と報じている。先月には「第5局」の局長らが不正確な情報を報告した疑いで「自宅軟禁」されたとの報道もある。
次々と責任を負わされるFSB関係者は黙っているのか──。もともとFSB内には侵攻に懐疑的な見方があったとみられる。3月23日付の同紙はFSBの内部告発情報を報じた。ウクライナへの電撃侵攻が失敗し、FSB内で不満と混乱が発生。FSB将校は戦争がロシア経済の破滅につながるのを知っており、戦争が長期化すれば、FSBがクーデターを起こすリスクが高まるとしている。
「FSB内でプーチン大統領の責任としていた戦争の失敗を、自分たちのせいにされたわけです。追放された職員はもちろん、FSB関係者は苦々しく思っているはずです。近く、ロシア軍はウクライナ東部に大規模攻撃を仕掛けるようですが、もし、陥落できなかった場合、FSB内から“打倒プーチン”の動きが出てもおかしくありません」(国際ジャーナリストの春名幹男氏)
ボルトニコフ長官は動くか
プーチン政権を倒すのは、オリガルヒ(新興財閥)よりも、シロビキ(軍、警察、情報機関)に分があるという。
「オリガルヒはお金はありますが、クーデターを遂行する力はない。一方、シロビキは“暴力装置”を持っている。FSBのボルトニコフ長官は部下が追放され、どう思っているのか。“ポストプーチン”とも目される同氏が動けば、プーチン政権崩壊につながる可能性があります」(春名幹男氏)
プーチン大統領は大粛清のしっぺ返しを食らうことになるのか。