都内「タワマン」に住んでいる人の年収&選ぶ本音…晴海フラッグが予想外の人気

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 不動産経済研究所によると、直近2月の首都圏新築分譲マンションの平均価格は7418万円。前年同月比で1038万円(16.3%)の大幅アップとなった。近畿圏も4433万円で同479万円(12.1%)の上昇。人気のタワーマンションが価格を押し上げている格好だが、果たしてどんな人がどんな思いで購入しているのか。

  ◇  ◇  ◇

 コロナや五輪延期により大幅に販売スケジュールが変更になった選手村跡地の大規模マンション群「晴海フラッグ」。約18ヘクタールの広大な敷地にタワー棟を含む4145戸の分譲住宅のほか、1487戸の賃貸住宅、店舗、保育施設、介護住宅、商業施設が整備される。

 販売前から「駅から遠い」「地震が来たら怖い」といったネガティブな意見がある一方で、昨年販売分の抽選倍率は平均8.7倍という高い人気を保持した。今月11日にも「SUN VILLAGE」と「PARK VILLAGE」の抽選が行われている。

 こうした人気の理由のひとつに、中央区アドレスであり、周辺相場に比べても「価格が安い」というものがあるが、「SUN VILLAGE」の80平方メートル台3LDKの価格は8150万円。頭金や親の援助の額にもよるが、ローンを手取りの3割以内に抑えることを考えれば、年収1500万円以上は欲しいところ。世間で言われる世帯年収1000万円の「パワーカップル」ぐらいでは不安が残る。

 では、実際にタワマンを含む高級マンションに住んでいるのはどんな人たちなのか?

■年収1000万円以上の人気1位は「赤坂」

 年収1000万円以上の人の成約物件を集計したGAテクノロジーズのランキングによると、人気の高いエリアは1位「赤坂」、2位「三田」、3位「六本木」と港区に集中。投資対象を除いた購入者の職業は、情報通信、商社、士業、医療が多かった。さらに、年収3000万円以上に絞ると、1位「六本木」、2位「赤坂」、3位「上大崎」の順番。初めて港区以外の上大崎(品川区)が入ったが、目黒駅近辺の高級タワマンに人気が集中した結果だという。

 いずれにせよ、購入者は物件だけでなく、住むエリアにもこだわっていることがわかる。

 では、なぜタワマンを購入するのか。不動産コンサルティング「ラソ・トラスト」の前田浩司代表がこう分析する。

■ステータス、転売目的の購入希望も増加

「まずタワマンのステータスを望む人が一定数います。また最近は共働き世帯が多く、職住近接でアクセス重視の傾向があり、駅周辺に建設されることの多いタワマンに必然的に興味が向かいます。大阪でも、うめきた再開発で2030年春に新駅として開業するなにわ筋線『うめきた駅』(大阪市北区)周辺や、企業オフィスが集中する大阪市福島区のタワマンに人気が集まっている。好立地のタワマンはコロナ禍でも価格が上がっており、3月に完成したばかりの某タワマンは、すでに50~60件の賃貸物件が出ている。転売目的に購入希望が増えている晴海フラッグも同じです」

 一方、タワマンのデメリットとしては、管理費・修繕費の高さ、エレベーターの混雑、災害時の停電対応、湾岸タワマンの場合は液状化懸念などが挙げられる。それでも人気が高いのは、補って余りあるメリットがあるからだろう。

「眺望やセキュリティーなどメリットはさまざまですが、タワマン購入者は『ご近所さん』や『教育環境』を買っている側面もあるでしょう。同じくらいの年収の家庭なら子供に対する教育の対応や考え方も似ていますし、住人同士の意識が高い可能性もあります」(前出の前田代表)

高輪の住民は「治安・安全性」を最も重視

 タワマンに住む人たちの本音がおぼろげながら見えてきたような気がする。

 少し古い資料になるが、2011年に港区が高輪地区(三田4・5丁目、高輪、白金、白金台)在住の20歳以上の人にアンケートしたところ、住人が最も重視している事柄は「治安・安全性」が77%で圧倒的に多かった。実際に多くの人が高輪の治安を満足だと答え、約9割が定住意向を示している。逆に言えば、高級住宅街ほど「よそ者」にシビアとも言える。

 もちろん、金持ちだからといって誰もが人格的に優れているとは限らない。4年ほど前に港区の子ども家庭総合支援センターの建設を巡って、一部住民から「土地建物の価値が下がる」「南青山のブランドイメージにふさわしくない」といった反対意見が出た。中には「ネギひとつ買うのにも紀ノ国屋に行く場所なので、DVで保護される人は生活に困るはず」と同情するふうを装って差別的な言葉を吐いた人までいたほど。それでも、収入が近い同質な人が集まった方が暮らしやすいのだろう。

「階級都市」の東京 教育格差を生み、格差を固定化

 こうした金持ちほど都心に住みたがる傾向は、東京の格差問題も隠れていそうだ。同じ東京でありながら、区によって住民の所得水準に大きな差がある。

 早稲田大学の橋本健二教授の著書「東京23区×格差と階級」(中公新書ラクレ)を読むと、同じ東京でも23区は「都心」「下町」「山の手」に大別され、戦前まで下町と山の手の間には一目見てわかるような生活の違い、文化の違いがあったとしている。足立区、葛飾区、江戸川区については東京の下町からも除外され、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の作者の秋本治氏(1952年生まれ)が、目黒に住んでいる親戚のおばさんのことを「東京のおばさん」と呼んでいたエピソードを紹介している。

「それぐらい以前は、住む人の職業や文化と住むエリアにはっきりとした差があったというわけですが、こうした格差は今はもっと拡大しています。1975年時点でトップの千代田区と足立区の所得水準の差は2.3倍でしたが、2019年の1人当たり課税所得は最も高い港区(676.8万円)と、最も低い足立区(168.8万円)では4倍にまで広がっているのです」(ジャーナリスト・中森勇人氏)

 橋本教授は、東京はすでに「階級都市」になっているとし、富裕層と貧困層が階級によって分け隔てられていると指摘する。階級都市は教育格差を生み出し、格差を固定化させるというのだ。大阪にも同じ傾向があり、都市部の高所得層は所得配分に反対の立場を取る政党を支持しがちだ。

 子供の貧困連鎖を断ち切るため、一定の成功者はさすがに高輪に家は買えなくとも、タワマンのような住宅を目指す。だとしたら悲しいことだ。

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