スペーシア カスタムがアルファード風グリルに! 日本で2番目に売れる軽の仁義なき戦い
スズキ スペーシア カスタム(車両価格:¥1,663,200/税込み~)
知る人ぞ知る話、クルマ界は音楽界同様「インスパイア」であり「オマージュ」がガンガンに行き交う場所だ。「ヒット作品をマネる」という行為が当たり前のように存在するのだ。
かつて英国車ミニのメッキグリルをマネた軽は山ほどあったし、ヒット作には必ず後追いが登場する。ただし、今回のインスパイアはいつもと違う。絶妙に別ジャンルのディテールを取り入れた入魂のマイナーチェンジモデルが登場したのだ。
その名もスズキ スペーシ アカスタム! いまや日本一売れる軽となったホンダN-BOXの次に売れる軽スーパーハイトで広さ、質感ともにN-BOXに迫る勢いだが、驚きのニューデザイン採用。そう、寸法的には倍ぐらいありそうな大ヒットミニバン、トヨタ・アルファードに激似のフロントグリルを纏ったのである。
担当のスズキスタッフに「似てますねぇ」と尋ねると「え? そうですか」とトボけたが、似てるなんてもんじゃない! ぶっちゃけ似すぎてる。
「軽スーパーハイトも顔が8割」の時代に?
確かに、グリル全体の逆三角形フォルムは言うほど似てない。そうではなく、グリル内のはばたく羽のような「逆さL」メッキパターンが死ぬほど似てるのだ。それも手が込んでいることに、2017年末のマイナーチェンジ前アルファードに似ている。最新型グリルとは絶妙に似てない。なんとも巧妙な外し方(笑)。
かつて私はトヨタ辣腕エンジニアから「ミニバンの8割は顔です!」との名言を聞いたことがあったが、ついに「軽スーパーハイトも顔が8割」の時代に入ったのだろうか。
ちなみにマイチェンしたスペーシア カスタムだが、変わったのはグリル造形と9インチのメーカー装着ナビと遂にSOSコールが付いたコネクティッド機能、あとは新色インディゴブルーなるボディーカラーや合わせて変わったインパネ色ぐらいのもの。カスタムに搭載される64psの660ccターボエンジンや足回りにはまったく変更なし。
マイチェンでなりふり構わぬ改良のワケは?
ひさびさに乗ってみたが、室内の異様な広さは相変わらずで、身長176cmの筆者が前後に座って頭上に子供を肩車できそうな高さだし、リアシートはヒザを伸ばせるレベル。乗り心地はN-BOXほどのしっとりさはないものの、十分ショックが抑えられてるし、マイルドハイブリッド付きのパワートレーンは速さ十分。大人一人と荷物をラクラク運んでくれた。
つまり、マイナーチェンジせずとも十分広くて便利でよくできたクルマなのだ、そもそもスズキ スペーシアは!
ではなぜ、マイチェンでここまでなりふり構わぬ改良をしたのか? 思うに1つはN-BOXのプレッシャーだ。かつて軽自動車といえば、スズキとダイハツのイッキ討ちでホンダが入る隙間などなかった。しかし今やN-BOXは売れてる! なんてレベルじゃない。ひと月の販売で1000台離されるのは当たり前で、直近2月は完全に倍スコア以上。商品改良を受けたこともあり、N-BOXが1万9000台レベルでスペーシア6900台レベル。圧倒的な販売力の差なのだ。
そりゃ他ジャンルのヒット作にあやかりたくもなるよな……そう思わされた、N-BOXの異様な快進撃っぷりなのありました。