ウクライナが「中立化」で譲歩 5.9ロシア対独戦勝記念日に“電撃停戦”はあるのか

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 明るい展望が見えてくるのか。ロシアとウクライナの両代表団による停戦交渉が29日にも、トルコのイスタンブールで行われる。今月7日以来の対面形式だ。久しぶりの対面交渉を前に、ロシアへの「譲歩案」が急浮上している。“電撃停戦”はあるのか。

 ◇  ◇  ◇

 ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ロシアメディア4社との会見で、自国の「中立化」と「非核化」を表明。

 さらに、2014年にロシアが併合したクリミア半島や、親ロシア派の武装勢力が実効支配してきた東部ドンバス地方について、武力で取り戻すことはないとも強調した。

 ロシアのプーチン大統領が求める「中立化」に一定の譲歩を見せ、東部の“割譲”も認めた形だが、もちろん条件付きだ。

 ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念する「中立化」は、第三国による「安全保障の確約」が必要であり、中立化の是非は国民投票で問うと主張。また、「他国の軍がいる中で国民投票はできない」として、ロシア軍の撤退を前提に掲げた。プーチン大統領のもうひとつの要求である「非武装化」については「まったく協議していない」という。

 停戦合意に向けゼレンスキー大統領が見せた譲歩に加え、英国の動きもロシアの強硬姿勢を崩すための“呼び水”になる可能性がある。

 英紙テレグラフ(26日付)によると、英国のトラス外相は同紙のインタビューにロシアへの経済制裁について「完全な停戦と撤退に加え、さらなる侵攻がないことをロシアが確約した場合にのみ解除すべきだ」と指摘。ロシアが約束をほごにした場合、直ちに制裁を科す可能性があると念を押した。

 トラス外相の発言は裏を返せば、ロシア軍がウクライナから完全撤退し、「二度と侵攻しない」と誓えば、“おとがめなし”ということである。ゼレンスキー大統領が示した譲歩も踏まえれば、プーチン大統領にとって悪い話ではないはず。というのも、ロシアの対独戦勝記念日(5月9日)に向け、見せ場をつくることができるからだ。

 ロシアにとって、その日はナチス・ドイツに支配された市民を「解放」した記念すべき日。ゼレンスキーを「ネオナチ」と一方的に決めつけ、ウクライナ侵攻の理由に「非ナチ化」を掲げるプーチンにしてみれば、「戦勝記念日」に向けて停戦を実現し、ウクライナ東部を「ネオナチ」から「解放した」というシナリオはおいしいはずだ。

問題は「どこの国が後ろ盾になるか」

 そもそも、プーチン大統領は長期戦を望んでいないとも言われている。これ以上の泥沼化は避けたいとすれば、果たして“電撃停戦”はあり得るのか。国際ジャーナリストの春名幹男氏がこう言う。

「停戦に向け、実現可能性が見え始めたのは喜ばしいことです。しかし、電撃的な歩み寄りは期待できません。ゼレンスキー大統領が『中立化』に触れたのはプーチン大統領にとって魅力的ではあるけれども、前提条件である第三国によるウクライナの安全保障を巡り、かなり揉めるでしょう。まさに『どの国がウクライナの後ろ盾になるか』が、プーチン大統領にとっての問題だからです。『中立』を具体的にどう実現するのか、交渉にはまだまだ時間が必要だと思います」

 ウクライナ国防省の情報機関トップは、プーチン大統領の狙いを「ウクライナに韓国と北朝鮮をつくること」だとして非難している。

 ウクライナはロシアを後ろ盾とする東部と、西側諸国を後ろ盾とする西部に分断されてしまうのか。

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