岸田政権の次世代「送電網構想」で電線株が大商い…業績拡大期待で投資家も熱視線
米FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和終了の前倒し決定や利上げ観測の強まりを受けて国内株式相場が弱含む一方で、電線メーカー大手の株価が底堅い動きを続けている。
業界首位の住友電気工業の先週末終値は1626円と昨年末比8.4%高。7日には一時10%を超える高値をつける場面もあった。同社と並ぶ「電線ご三家」の一角、古河電気工業とフジクラも昨年末比での高値水準を保っている。
■昭和電線HDは一時、昨年比14%超
そんな中、とりわけ大商いを演じているのが昭和電線ホールディングス(HD)だ。年明け4日の出来高は一気に昨年末比8倍超、5日は10倍超に膨張。同日の株価は一時1896円と昨年終値からの上げ幅は14%を超えた。7日終値ベースでのPER(株価収益率)は住友電工13.35倍、古河電工16.73倍に対し、昭和電線HDは6.87倍。市場関係者からは「足元の株価は一服感があるものの、割安感は強く上昇余地は大きい」との声も飛ぶ。
電線株堅調の背景にあるとされるのが岸田文雄政権の打ち出した次世代送電網整備構想だ。洋上風力発電など再生可能エネルギーを都市部の消費地に送るための大容量の送電網を構築しようというもので、6月に策定するカーボンニュートラル達成に向けた「クリーンエネルギー戦略」に盛り込む。2030年度をメドとした北海道-東京・東北間の送電網新設や北陸-関西・中部間の送電網増強といったプロジェクトを推進。総投資額は「2兆円を超える」(電力業界関係者)といわれる。