小沢コージ
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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

お買い得9代目アルトはなぜ味まで良くしたのか? スズキの“おねだん以上作戦”を暴く

公開日: 更新日:

スズキ・アルト(車両価格:¥943,800~/税込み)

 今から40年以上前に「アルト47万円」のCMで一世風靡した元祖激安軽自動車、スズキ・アルトの9代目が登場した。

 当時はオキテ破りの商用車登録で昭和の節税軽自動車という新ジャンルを作り上げた。だが意外や意外、2代目で当時珍しいエアコンやパワステ、3代目でスライドドアを採用した革命車でもあった。

 事実年末に登場した新型9代目が侮れない。価格は税抜80万円台(税込94万円台)スタートを守りつつ先進安全のスズキセーフティサポートを全車装備し、上位グレードにはアルト初のマイルドハイブリッドや2トーンカラーまで選べるように。その他全域でおねだん以上に仕上がっているのだ。

昭和のアルトの“チープ感”はもはやなし

 まずボディーだが骨格こそ先代で採用した新プラットフォームのハーテクトを踏襲しつつ、要所要所に去年登場のハスラーで使った、環状骨格構造や構造用接着剤を使用。剛性を確実に上げている。なによりデザインは旧型のスポーツ路線から曲線を多用した可愛い路線に。

 一部にキュートデザインで人気の兄弟車、アルト・ラパンを喰いそうなテーストなのだ。

 インテリアも刷新。全体に楕円モチーフを多用しつつ、新たにカップホルダーを使いやすい位置に配し、なおかつ質感の高いブルー樹脂をインパネに、デニム風生地をシート表皮に使って作りの良さを感じさせるのだ。もちろん平気で140万円台を超えるホンダN-BOXほどの質感はない。ただ、昭和のアルトが持っていたチープ感ももはやない。

 加えて凄いのは走りでパワートレーンは廉価グレードが効率的に電気を充電するエネチャージを、上位グレードにマイルドハイブリッドを備え、最良燃費は27.7km/ℓ。軽自動車トップなのはもちろん、ほとんど乗用車のストロングハイブリッドに迫る燃費なのだ。

スズキならではの割り切りの美学が随所に

 走り味も従来より確実に柔らかさ、静かさが増してるのと同時に、車重ほぼ700kg前後の軽量ボディーだから十分に速い。最新トヨタのストロングハイブリッド車のようなハイテク電動感はないが、独特の効率的な味わい。適度なクオリティーとコストパフォーマンスを独自の軽さやアイデアで見事に達成しているのだ。

 そこにあるのはスズキならではの割り切りの美学。ボディー骨格や補強方法など、共有できるところは他の軽シリーズと共有し、残りはアルトならではの軽量化を中心とした工夫で補う。全体的にかつてのケチケチ路線ではなく、ある程度のクオリティーを保証する。

 コンビニ飯もクルマも安かろうマズかろうじゃ今や誰も欲しがらない。安くてうまい! これが今の日本のジョーシキなのだ。

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