有森隆
著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

「アース製薬」17期連続の増収が目前…虫ケア用品&入浴剤が好調

公開日: 更新日:

 殺虫剤市場で首位のアース製薬の業績はコロナ禍でも絶好調だ。2021年12月期連結決算は、売上高が前期比3%増の2015億円、純利益は2.2倍の77億円を見込む。05年同期から17年連続で増収を達成することになる。

 新型コロナウイルスの蔓延で在宅時間が増え、主力の虫ケア用品(殺虫剤)や入浴剤が伸びた。東南アジアなど海外事業が牽引する。国内シェアは「アースジェット」などの殺虫剤が55.6%、「バスロマン」の入浴剤が46.7%と断トツだ。

 国内の虫ケア用品は、高水準だった前年の反動で21年1~9月は前年同期比4%減だが、コロナ前の19年同期と比較すると12%増えた。入浴剤は今期も高い成長が続き、21年1~9月の売り上げは前年同期比10%増えた。19年比では24%増だった。

 アース製薬の創業は1892(明治25)年。大阪の難波で木村秀蔵が家庭薬メーカーとして立ち上げた。1929年、家庭用殺虫剤「アース」を発売して殺虫剤市場に参入。64年に現在の社名に変更した。

 入浴剤「バスロマン」などのヒット商品を生み出したが経営難に陥り69年、会社更生法を申請した。

 70年に大塚製薬(出資比率9.96%で筆頭株主=2021年6月末現在)や大塚製薬工場(同8.83%の第2位株主)が資本参加して以来、大塚グループの一員である。

 創業者の大塚武三郎の後を継ぎ、グループの総帥となった、長男の正士がアースを買収した。

 大塚正富は武三郎の五男。正富の長男が達也で、98年、アース製薬の社長となり、14年、会長になった。

「アース製薬は大塚正富家の事業となっている」(関係者)

 正富は、ゴキブリ捕獲器の「ごきぶりホイホイ」や液体蚊取りの「アースノーマット」などヒットを連発して再建にこぎつけた。05年、東証2部に上場、翌06年、1部に昇格した。M&A(買収・合併)を成長の糧とした。12年、入浴剤業界2位のバスクリンを買収。入浴剤でシェアトップに躍り出た。14年、白元を買収した。

 社長は川端克宜(50)。94年、近畿大学商経学部(現・経営学部)を卒業してアース製薬に入社した生え抜きだ。40歳の時、当時の大塚達也社長(現・会長)から2年後の社長就任を要請された。歴代社長は大塚一族の出身者ばかりで、川端は当時、大阪支店長。ヒラの取締役にすらなっていなかった。

 13年に取締役になり、わずか1年後の14年、社長就任が発表された。

殺虫剤から「虫ケア用品」に

川端は社長就任後、社内外で殺虫剤という呼び方をやめた。「殺すという文字に違和感がある消費者が多かったから」だという。新しい名称を「虫ケア用品」とした。

 20年12月期の部門別売上高構成比は、日用品部門が50.6%で虫ケア用品(殺虫剤)の32.1%を大きく上回った。

 脱「虫ケア」に向けてアクセルを踏み込む。

 川端が見据える将来像は「感染症トータルケアカンパニー」である。デング熱や日本脳炎といった虫を媒介した感染症の関連商品を提供してきた。これからは除菌など感染症の予防まで事業領域を広げていく。

 生き残りをかけ、蚊の感染症が多い東南アジア市場での展開を加速させる。(敬称略) 

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