“日大のドン”田中英寿容疑者が虎視眈々目論む「執行猶予で理事長居直り」計画

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「それは私の金よ!」

 9月8日、東京地検特捜部の係官が杉並区阿佐谷にある「日大のドン」こと理事長の田中英寿容疑者(74)の自宅をガサ入れした際、理事長の妻の優子さんはこう激高し、抵抗したという。

 日大元理事の井ノ口忠男(64)と医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳(61)両被告から現金1億2000万円を受け取り、約5300万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いで特捜部に逮捕された田中理事長は、家宅捜索された後も一貫して、周囲に「辞めることはない」と漏らしていたという。

■追徴課税でなく逮捕された理由

 通常、脱税容疑で逮捕されるのは脱税額が1億円以上のケースだが、田中理事長が5300万円で逮捕されたのには理由があった。

「特捜部は3億円以上の不透明な金を突き止めたが、金の出どころが明らかになったのは籔本が大阪の銀行から引き出し、紙幣の記番号が確認できた帯封などごく一部です。理事長の自宅には億単位の札束が無造作に置かれていましたが、残りの金は証拠が残っているわけではなく、田中夫人に『タンス預金』と言われれば立証できない。極めて筋が悪い。それでも理事長を逮捕できたのは、終始一貫して『現金を受け取っていない』と容疑を全面否認したから。ヤバイ金だと分かっていたから税務申告しなかったのでしょう。井ノ口と籔本から金を受け取ったことを素直に認めていれば追徴課税がなされ、逮捕には至らなかった。ただし、これ以上の余罪を見つけるのは難しい」(捜査事情通)

理事長は日大の金と人事をすべて掌握している

 所得税法違反は10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金刑、あるいはその併科だが、脱税額が5300万円と少額なことから、有罪でも執行猶予が付くとみられている。そのため公判中は「推定無罪」をタテに、有罪が確定しても納税を済ませ、日大のドンは「理事長の座」に居座るつもりだという。

「大学は4億2000万円もの被害を被ったにもかかわらず、被害届を出していません。田中理事長が理事に『大学としては被害を受けていない』と説明したからです。三十数人いる理事のうち、被害届を出すよう異論を唱えたのはわずか1人だけ。理事は実質、理事長が決めているようなものですから、誰も逆らえません。理事長は日大の金と人事をすべて掌握しているので、権限は絶大です。いくらコンプライアンス上、問題があるとしても、理事長に進言したり、鈴を付けられる理事はいない。理事長自ら辞任しない限り、何も変わりません」(日大関係者)

 文科省は先月、日大への今年度分(昨年度は90億円)の私学助成金の交付を保留する方針を決めたが、入学志願者が減ろうが、大学の信用が失墜しようが、お構いなし。「理事長の座だけは失いたくない」が本音だろう。

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