農林中央金庫は収益好調も「ローン担保証券」抑制 保有額がピーク時から4割減のナゼ
その好調な農林中金が抑制気味な投資を継続しているのが、CLO(ローン担保証券)だ。CLOは、投資適格未満の信用力の低い企業に対する貸し出し、いわゆるレバレッジド・ローンを束ねて証券化した金融商品だ。
■日本は最大の投資家
信用力の低い企業向け貸し出しを束ねているため利回りが高く、国内に有望な投資対象を欠く日本の大手銀行がこぞって触手を伸ばした。
日銀と金融庁が20年6月に発表したCLOに関する初の合同調査結果「本邦金融機関の海外クレジット投融資の動向」では、19年9月時点の大手行のCLOの保有額は合計13.8兆円で、3年半前の2.7倍に拡大、世界のCLOの2割弱を日本の金融機関が保有する、最大の投資家になっている。
このうち農林中金は19年12月末時点で約8兆円ものCLOを抱える世界最大の保有者だった。しかし、運用資産に占める割合が高くなったこともあり、漸次、保有額を絞り、今年9月末時点ではピーク時の4割減の約4兆8000億円まで残高を落としている。