日本製鉄vsトヨタ自動車 特許侵害をめぐる大ゲンカの行方は?
日本製鉄が特許侵害でトヨタ自動車を提訴している。10月14日、日本製鉄はハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の駆動用モーターに欠かせない重要な鋼材の特許を侵害された、とトヨタ自動車と中国の宝山鋼鉄に対し双方に約200億円の損害賠償を求める裁判を東京地裁に起こしたのだ。
トヨタ自動車は2021年9月中間決算で、純利益が前年同期比2.4倍超の1兆5244億円と過去最高益を出した。一方、日本製鉄は22年3月期(通期予想)で純利益5200億円とこちらも過去最高益を発表。国内最大の企業同士のケンカの行方はどんな結末をたどるのか。
問題となっているHVなどに不可欠な鋼材「無方向性電磁鋼板」は、高度な技術による特殊な製法で作られ、14年に特許を取得したトップシークレットの製法。トヨタは宝山鋼鉄が製造したこの鋼材をHVなどに搭載している。特許法では、宝山鋼鉄が日本製鉄の特許を侵害した製品を使用していれば、宝山鋼鉄と同様に特許を侵害していることになる。日本製鉄の提訴に対しトヨタは「特許侵害がないと宝山側から説明があった」と主張。これに日本製鉄の橋本英二社長は「特許侵害の有無で科学的な調査をすべき」とし、「トヨタが特許侵害を認めなければ和解はない」と強硬だ。まさに両社の主張は真っ向から対立し泥沼状態なのである。橋本社長が主張する「科学的な調査」の実施についてトヨタの幹部社員はこう答えた。