就任から8年半…日銀黒田総裁の“一万田超え”がもたらす「負の遺産」
日銀の黒田東彦総裁の在任期間が、「日銀の法王」と呼ばれ、在位8年6カ月に及んだ一万田尚登総裁(1946~54年)を10月で超えた。
しかし、総裁周辺には冷めた声が強い。黒田総裁が就任直後に公約した「2%の物価上昇」はいまだ達成できないばかりか、大規模な金融緩和は副作用が目立ち、「いまや黒田氏はMMTの信奉者のひとりになったようなもの」(市場関係者)と揶揄される始末だ。FRBが年内にもテーパリング(緩和縮小)に踏み切る意向を示しているのとは対照的。「いまや黒田氏はなにもできずにいる存在」(同)と言われている。
それでも水面下ではポスト黒田の人選が進んでいる。黒田総裁の任期は2023年4月までだが、「菅政権時代から黒田氏の後任選びが俎上に載せられていた。アベノミクスの象徴である金融緩和の継続をどうするのかが政治的イシューになっているためで、岸田政権でも重要テーマとなる」(日銀関係者)という。