民鉄に広がる“ウエストショック” JR西日本が公募増資計画で株安に
さしずめ「ウエストショック」とでもいったところか。最大で5266万株の新株を発行し、同2786億円を資金調達するという公募増資計画を発表した西日本旅客鉄道(JR西日本)。コロナ禍の長期化で傷んだ「財務基盤の立て直し」(長谷川一明社長)が狙いとされるが、1株当たりの価値が3割近くも希薄化することへの懸念から株価は急落。増資警戒感の高まりもあって余波は他の民鉄大手にも広がった。
JR旅客グループによる公募増資は1987年の国鉄分割民営化以降初めて。国内外同時募集とし、国内で6割、海外で4割を調達する。調達資金は長期債務の返済や大阪駅西側地区の再開発事業などに充てる方針だ。
JR西日本はコロナ禍による鉄道利用の落ち込みなどで2021年3月期に2332億円の最終赤字に転落した。22年3月期の第1四半期(4~6月)も320億円の最終赤字で、通期でも最悪1165億円の赤字となる見通し。20年3月末に34.1%あった自己資本比率は今年6月末で22.9%にまで低下している。