コロナ禍なのに「増配」企業が拡大中 次の狙い目銘柄は「建設業」
このところ「増配」を発表した銘柄の異常な値上がりが目立っている。
例えば商船三井。7月30日に2022年3月期の年間配当を、前期の150円から550円に引き上げると発表。すると株価は発表前日の5030円から8月末には8570円と70%も急騰し、最高値を更新している。また日本郵船は8月4日、22年3月期の年間配当を前期の200円から700円に増やすと発表。株価は発表前日の6570円から8月末の8890円と、35%も値上がりし、同じく最高値を更新している。
コンテナ船の運賃高騰などで、いま海運業は絶好調。とはいえ、大幅な増配発表はサプライズであった。その他にも、本年7~8月に増配を発表して値上がりした銘柄には、AGC、神鋼商事、山陽特殊製鋼、明和産業など数多くある。
21年度の配当総額は20年度比11%増の17.9兆円である。コロナ禍前の19年度と比べても4%増えている。なぜ現在多くの企業が増配に動いているのだろうか。
上場企業の内部留保は、足元で475兆円まで積み上がっている。とはいえ、景気停滞とコロナ禍の長期化で、企業は投資には資金を振り向けにくい。投資家の評価を高めるには配当をしっかり出すことが必要という判断だ。とくに成熟産業にはこの傾向が強い。