経営難に陥った山梨県民信用組合 小さくても潰せないのはなぜか
「小さくても潰せない。いわんやコロナ禍の現在、ペイオフなんてもっての外だ」
中小金融機関関係者がこう指摘するのは、経営難に陥っている山梨県民信用組合のことだ。甲府市に本店を置く同信組は、2003~04年にかけて相次いで地元信組と合併。営業基盤は山梨県全域に及び、地元地銀の山梨中央銀行並みの規模を誇る。
しかし、不良債権の重荷に喘いでおり、信組業界の中央組織である全国信用協同組合連合会(全信組連)から05年と07年に計128億円の資本支援を受けたほか、09年には450億円もの公的資金を注入された。それでも経営難から脱し切れず、18~20年度の3年間で全信組連から計159億円の「資金贈与」を受けた。
「公的資金や全信組連からの資本支援は返済することが前提になっていますが、159億円の資金贈与は返済する必要のない、行ったきりのミルク補給にほかなりません。まさに異例の優遇措置です」(先の中小金融機関関係者)という。