外食レストランの青息吐息…主要上場会社はコロナ前より800店減少(表付き)
外食店の苦しさが伝わってくる結果だ。
東京商工リサーチが実施した外食レストランに関する調査によると、新型コロナウイルスが感染拡大する前(主に2019年度決算)に比べ店舗数が激減した。
調査対象は、レストランを運営する上場主要11社。19年12月末は合計9115店あったが、直近調査の21年3月末は8322店まで減少している。実に793店が消滅した。
「コロナ禍で約800店が閉店したことになります。20年12月末と比較すると115店の減少です。わずか3カ月間に100を超す店が減少しました」(東京商工リサーチ情報本部の二木章吉氏)
九州を地盤にステーキやハンバーグを主力とするファミレスを展開するジョイフルは、コロナ前に比べ店舗数が200減った。同じく、「ガスト」で知られるすかいらーくHDは143、「ステーキ宮」のアトムは101減少している(別表参照)。
「ショッピングセンターなどの商業施設やオフィス街にあるビルに入っている外食店の売り上げはかなり厳しいといえます。緊急事態宣言などの影響で、商業施設自体が休業を余儀なくされたり、営業時間の短縮を強いられています。入居するレストランの売り上げは減少です。利益が出ない店舗が多く、閉店を決めるケースは多いようです」(二木章吉氏)
半数以上が赤字
これだけ店舗閉鎖が続けば、業績悪化は避けられない。主要11社のうち、直近決算(通期や四半期決算)で半数以上の6社が赤字だった。黒字はゼンショーHD、サイゼリヤなど5社にとどまるが、うち2社は不動産売却で利益を確保。本業の不振は継続しているという。
「コロナ禍をどう乗り切るか。コロナとどう共生していくか。外食業は生き残りに必死です。テークアウトの強化はもちろん、業態転換も大胆に進めています。たとえば、すかいらーくHDはカフェの『むさしの森珈琲』に力を注ぎます。ファミレスは複数での来店を想定しているので1人席はほぼありません。カフェは1人でもフラッと立ち寄れます。実際、今年1~6月にカフェに業態転換した15店の売り上げは平均35.8%アップしています」(市場関係者)
すかいらーくHDは“ウィズコロナ”では、「食べたいものが明確で外食の楽しみを享受できるブランドのニーズが高まっている」と分析し、ハワイアン「La Ohana」や中華「バーミヤン」、しゃぶしゃぶ「しゃぶ葉」などへの業態転換を加速している。「むさしの森珈琲」と同様、「La Ohana」に転換した9店の売り上げは平均82.4%増、「バーミヤン」に業態転換した5店は同72.6%増だ。
東京商工リサーチのリポートは、次のように締めくくった。
「地域や業態により、不採算店のスクラップは継続するとみられる。特に、賃料が割高な都心部を中心に、店舗見直しは避けられないだろう」
外食店の減少はまだまだ続きそうだ。