ソフトバンクvs楽天<1>奇々怪々な巨額訴訟事件の発端
コロナ禍の日本で最も業績を伸ばした企業はどこか。
決算を見る限り、それは孫正義会長兼社長(63)が率いるソフトバンクグループ(SBG)ということになる。2021年3月期の純利益は4兆9000億円で、国内企業の日本新記録となったからだ。
一方でこの数字は、投資した未上場企業の価値まで“未実現の利益”として算定するため、将来の株式市場の動向に大きく左右されることを懸念する声も少なくはない。
投資を除くSBGの中核は、ご存じ、ソフトバンク(SB)の通信事業。こちらの決算も悪くない数字だった。前年に比べ、売り上げも営業利益も順調に伸びており、株主総会のビデオではスマホのナンバーワンを目指すと孫会長は胸を張った。
だが、「現実はそう簡単ではない」と話すのは総務省関係者だ。
「見かけ上、SBの決算は整っています。しかし、コンシューマー事業に注目すると、全体では3%程度伸びてはいるものの、肝心のモバイルについての伸びはたった0.04%にとどまりました。言い方を換えれば、この時期に伸ばせなかったということになる。実は、あれだけCMを流しているにもかかわらず、SBのシェアは、このところ少し低下する傾向が見られます」