上場企業の「減資」がコロナ禍で急増! 株価はどう動くのか
資本金を減らす「減資」と聞くと、やはりマイナスのイメージが浮かぶだろう。この「減資」にあえて踏み切る上場企業が増えている。2021年は、6月末までの半年で減資開示企業が90社超に達し、リーマン・ショックがあった08年以降で最多である。業種では、コロナ禍で経営が直撃された「サービス業」や「外食・小売業」の企業が多い。
「減資」には2種類ある。株主への払い戻しを伴い純資産が減る「有償減資」と、払い戻しはなく純資産は変わらない「無償減資」である。
コロナ禍で減資をする企業のほとんどは無償減資である。税制上の「中小企業」となる資本金1億円以下にする例が目立つ。「中小企業」の場合、税の特典を受けられ、赤字額の全額を翌年以降最長10年間にわたり所得金額から繰り越し控除できる。一例をあげると、かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトは今年2月に資本金を98億円から1億円に減額した(98.98%の減資)。
では、上場企業が減資すると株価はどうなるのか。無償減資で「100%未満の減資」の場合、たとえ99%の減資であっても、現在の会社法では純資産額や発行済み株式総数は一切変わらず、株主の保有する株式の内容や価値も変化しない。それゆえ、理論上株価は変わらないのである。上記のカッパ・クリエイトの株価は、減資を材料としてはほとんど変動していない。