株式上場も視野「東京メトロ」が動き出した完全民営化への計画
東京地下鉄(東京メトロ)が完全民営化に向けて動き出す。国土交通省交通政策審議会の有識者委員会がこのほど、東京都が要望してきた地下鉄新線建設計画を大筋で受け入れる代わりに、国が53.4%、都が46.6%を保有するメトロ株をひとまず半分ずつ売却して上場させるよう促す提言をまとめたためだ。
東京メトロの純資産はコロナ禍による最終赤字転落でこの1年間に650億円強目減りしたとはいえ、今年3月末でなお6444億円。半分売却でも単純計算で3000億円超の売却収入が得られることになる。
東京メトロ株の国保有分に関しては「復興財源確保法」で2027年度末までにすべて売却し、東日本大震災に伴って発行された震災復興債の償還に充てることがすでに決まっている。ただ都保有分に関しては方向性が定まらず、メトロ完全民営化への道筋はこれまで視界不良の状態が続いていた。メトロへの経営関与が薄れることを嫌った都側が売却に難色を示してきたためだ。