銀行株がすべて「買えない」わけではない 宝物を抱える銘柄も
銀行株の低迷が続いている。ちなみに、メガバンク3社の6月29日の株価・PER・PBRを見てみると――。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は601円、9.94倍、0.46倍。三井住友FGは3854円、10.29倍、0.44倍。みずほFGは1596円、8.59倍、0.44倍である。
一方、東証1部上場銘柄の平均PERは16.34倍、平均PBRは1.33倍なので、メガバンク株がいかに不人気で市場平均を大きく下回っているかがわかる。メガバンクの最近の業績は底堅く推移しているが、「金利低下→銀行の収益悪化→銀行株は買えない」のイメージが市場に定着しているようだ。
しかし、こうした銀行株の中にあって、「宝物」を保有しているMUFGは再評価されてもいいと考える。宝物とは、MUFGが23.36%出資し持ち分法適用会社である米モルガン・スタンレー(MS)の存在である。
2008年のリーマン・ショックによる金融危機に際し、米国の名門投資銀行であるMSも信用不安に陥り、資本増強を図るためMUFGに出資を緊急要請した。日本企業としては珍しく短期間でこれに応じたMUFGは約9000億円の大金を投じ、MSは経営破綻を免れた。その後、MSはゴーマンCEOの主導で経営改革に取り組み、15年にスミス・バーニー(大手リテール証券)、20年にイー・トレード(大手オンライン証券)を買収するなどして、今やゴールドマン・サックスをしのぐ世界最大最強の総合証券に大変身している。