大手証券の株価はなぜ安い?「顧客の高齢化」が大きなカベに
大手証券会社の株価が長期間低迷している。
業界トップの野村HDの6月22日の株価は578円。過去5年で高値は2016年12月の784円、安値は19年6月の330円。2番手の大和証券G本社は同628円、過去5年で高値は18年1月の810円、安値は20年3月の356円だ。バブル期に野村が5990円、大和が3980円の最高値をつけているだけに、隔世の感がある。市場が29年ぶりの3万円相場に沸いたときも、大手証券株だけはカヤの外だった。
両社の株価を代表的な投資指標で見てみると、野村・大和の株価収益率(PER)はそれぞれ11.5倍と8.8倍。株価純資産倍率(PBR)は0.67倍と0.67倍である。東証1部銘柄の平均PERは16.3倍、PBR平均は1.33倍。両社の2指標は平均を大きく下回っている。
なぜ大手証券の株価は長期間低迷しているのか。その理由として考えられるのが、顧客の高齢化に伴う大手証券の預かり資産の減少懸念である。つまり営業基盤の縮小だ。
日本の個人金融資産1948兆円の約6割を60歳以上の高齢者が所有している。大手証券の顧客も60歳以上の高齢者が中心を占め、特に人口の多い団塊の世代(現在70歳前半から半ば)が多くの金融資産を保有している。この多額の預かり資産(野村120兆円、大和75兆円)が、大手証券におけるリテール部門の安定的な収益を生み出してきた金の卵なのだが、顧客が高齢化し、次の現象が起きつつある。