佐高信
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佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

トヨタのパワハラ自殺和解で三菱重工加用事件を思い出す

公開日: 更新日:

 東大大学院を修了して2015年にトヨタ自動車に入った男性が2年後に上司のパワハラで自殺した件で遺族とトヨタが和解したという記事が各紙に出ていた。それを読んで三菱重工の加用事件を思い出した。

 俗に「人の三井」「組織の三菱」という。三菱は組織で動き、三井は個人プレーも許すという意味である。それは、三菱が組織のためには個人を大事にしない場合があることをも意味する。

 その典型例が三菱重工長崎造船所で起こった。1994年1月8日、心筋梗塞で倒れた海洋研究室長、加用芳男について、夫人の豊子が労災申請をしたのに、掌を返して非協力の冷たい態度をとったのである。

 東大工学部船舶工学科博士課程を出て重工に入った加用は、主に氷の研究に従事してきたが、92年には国家プロジェクトを2つ抱えて寝る間もないほど仕事に追われるようになる。造船不況の最中に、加用には「新分野を開発せよ。しかし、金は1銭も出さぬ。人員は増やさずに減らしていけ」という社命が下されていた。

 責任感の強い加用は想像を絶するその激務をこなしていたが、さすがに疲れ果て、「会社をやめたい」と口走るようになる。そして93年11月、東京出張中に左胸に痛みを感じ、帰った翌日、三菱病院で診療を受けた。この時、加用は48歳。そして翌年1月、娘との約束でテニスに出かけ、倒れる。一命はとりとめたが、重度の脳障害者になった。

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