「中古マンション」コロナ禍でも売買成約が過去最高のワケ
中古マンション市場が絶好調だ。
2021年3月の首都圏中古マンションの成約件数は4228件。これは、調査に当たっている「東日本不動産流通機構」が1990年5月に発足して以来、3月としては過去最高の成約件数だそうだが、なぜなのか――。今月11日発売の新刊「はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド2021~22」(講談社ムック/日刊ゲンダイ編)の著者で、住宅ジャーナリストの山下和之氏が解説する。
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最初に緊急事態宣言が発出された20年4~5月は、成約件数が大幅に落ち込んだものの、その後すぐに立ち直ってV字回復、8月、10月など、何度も過去最高を更新してきた。価格も上昇している。成約件数と同様に20年4~5月は前年同月比でダウン。しかし、6月以降は回復し、前年同月比で5~6%台の高い上昇率を続け、2021年3月の成約価格は3837万円で、前年同月比10.0%の上昇となった。
中古マンションが活況を呈している最大の要因は、価格の値ごろ感にあるといっていいだろう。21年3月は3837万円まで上がったとはいえ、同じ月の首都圏の新築マンションの平均価格は、6330万円(不動産経済研究所調べ)。中古なら新築の6割ほどで手に入る計算だ。