東芝の“劇場型”騒動で見えた「もの言う株主」の習性
この世には大きな仕掛けと巨額の資金を使って確実に株で儲けている勢力がいる。この勢力にうまく便乗すれば、少ない資金しかない一般投資家も、儲けのおこぼれにあずかることができる。俗に「もの言う株主」と呼ばれるアクティビスト・投資ファンドの存在もそのひとつだ。
彼らによる日本企業への要求や提案が増加している。2015年には2件だったもの言う株主からの株主提案が、2020年には26件と過去最高になった。手法も次第に大胆巧妙になり、メディアに投資先を公表し一般投資家を巻き込んで株価をツリ上げる「劇場型」が増えている。また、攻撃型の手法は身をひそめ、経営側へのアプローチも紳士的になっているが、しかし、「自らの利益が第一」、すなわち「自分ファースト」の本質は何ら変わっていない。
先日、大きな騒ぎになった東芝のケースを見てみたい。
言うまでもなく、東芝は不正会計や米原発事業の巨額損失により、17年3月期に5816億円の債務超過に陥った。2期連続の債務超過による上場廃止を回避するため、同年12月に6000億円もの第三者割当増資を実施したのだが、その多くを引き受けたのがもの言う株主や投資ファンドだった。