藤田観光が経営危機で決断 グループの象徴「太閤園」売却
「やむを得ず当資産を売却するという苦渋の決断を下すこととなりました」
会社側が先週末に発表したニュースリリースからもその断腸の思いがひしひしと伝わってくる。
ワシントンホテルや「ホテル椿山荘東京」などを運営する藤田観光が宴会や結婚式などの会場として知られる大型施設「太閤園」(大阪市都島区)の売却を強いられた。新型コロナ禍で業績が急速に悪化し、20年12月末の自己資本比率が1・2%と債務超過寸前にまで落ち込むなど経営危機が深刻化しているためだ。
同社ではこれにより21年の第1四半期(1~3月)に特別利益として約329億円の資産譲渡益を計上。債務超過転落を回避したい考えだが、「減損リスクを抱えている有形固定資産が584億円ある」(幹部)としており、予断を許さない情勢だ。
太閤園はグループ創始者で総帥とされた藤田伝三郎男爵が建てた「網島御殿」など広大な藤田邸をベースに1959年に開業。多数の結婚式場と13の宴会場、レストランなどからなり、敷地面積2・57万平方メートル、建物延べ床面積1・92万平方メートル。グループの象徴であり、その栄耀栄華ぶりをいまに伝える施設でもある。