大塚家の長男・勝之氏の出奔で転がり込んできた後継者の座
大塚家の長男・勝之氏が2008年に突然、大塚家具を退社した。父・勝久氏の後継者として、期待を一身に背負ってきた人物だ。そんな1歳年下の後継者候補が会社を辞めたことで、長女の久美子氏にチャンスが回ってきた。
「勝之さんは生まれた時から後継者として特別な扱いを受けていたようです。1985年に設立された『ききょう企画』も、勝之さんが経営を継承後に相続で苦労しないようにするのが目的でした。ききょう企画は大塚家具の株式の9・75%(189万2000株)を保有する第2位株主。その株式の50%を勝之さんに、残りの50%を妻の千代子さんと他の4人のきょうだいに10%ずつ渡していました」(元幹部社員)
勝之氏は名古屋芸術大学を卒業後の1992年9月に大塚家具に入社した。元幹部は言う。
「勝久さんは1994年ごろから大阪進出などに力を入れる一方で、若手を積極的に採用するようになりました。その頃に入社した社員たちは勝久さんから『将来、勝之が社長になったら支えてくれ』と言い聞かされてきたのです」