増える活用困難「空き家」に地域交流の場としての可能性
「最近になって、空き家処分の相談がさらに増えている状態です」
こう話すのは、空き家物件の売買などを手がける不動産会社リライト(横浜市)社長の田中裕治さん。これまで依頼のあった日本各地の空き家を1円などの超格安価格で売り出すほか、自社で買い取り「家賃0円」で貸し出したり、ボランティア的に空き家活用を推進してきた日本でも珍しい不動産会社だが、販売や貸し出しだけでは、空き家の活用は限界が来るという。
「空き家は地方だけの問題ではありません。東京や横浜でも空き家が増えていて、今回、そのうちの一つを地域交流の場所として活用しようと試みているところです」(田中さん)
JR京浜東北線、新子安駅から13分ほど歩いた高台の住宅地。40平方メートルほどの土地に立つ築50年オーバーの2階建てが、地元交流の拠点として運営を目指している物件だ。横浜市内にあるが、借地権の上に車が進入できない道路に面しているなど所有者が処分に困っていたところ、田中さんに声がかかったという。
「子安台は古くからある住宅街で、住民の方の年齢層が高いエリアです。一方、駅周辺の新子安は大型マンションができたり、子育て世代や若年層が多く暮らしています。近いエリア同士でも住民構成が二極化していて隔たりがあるため、子供も高齢者も交流できるスペースとしてこの空き家を活用できればと考えています」