2代目トヨタ・ミライ(プロト)はなぜクールな4ドアに?
「本当にクルマ好きの方に選んで頂けるクルマを作り、スペック的にも申し分ないようにした方が、水素ステーションなどの多少の不便性を乗り越えてもお乗り頂ける」(チーフエンジニア田中義和さん)
トヨタが生んだ事実上世界初の量産燃料電池車、ミライが6年ぶりに2代目へ生まれ変わった。
先日プロトタイプにテストコースで乗ったが、変わったなんてもんじゃない。今回から、ミライ(未来)をアシタ(明日)に変えていいくらいのコンセプトからの全面フルモデルチェンジだ。
スタックもタンクも内製し量産化
そもそも燃料電池車は電気自動車の一種で、エンジンの代わりに電気モーターで走るが電気供給法が普通のEVとは全く違う。
タンクに貯めた水素ガスを車内で空気中の酸素と反応させ、生まれた電気で走るのだ。その燃料電池スタックの開発、管理が難しく、他にもホンダ、メルセデス・ベンツ、韓国のヒュンダイなどがトライしているが簡単に大量生産はできない。しかしトヨタはスタックもタンクも自ら内製し、量産にこぎ着けた。
しかし6年前の2014年末に発売した初代ミライは約5年間で世界累計販売約1万台で国内約3400台と予定より少ない。よって今回スタイルからプラットフォームまで一新したが、最大のキモはカッコ良さと走りだ。
ジャガーやアストン顔負けのスタイル
スタイリングは初代の帆船のようなずんぐりむっくりフォルムとは大違い。初代のFFプラットフォームを捨て、レクサスLSと共通のFRプラットフォームを採用。結果、全長×全幅×全高は4975×1885×1470mmで85mm長く70mm広くて65mm低く、ジャガーやアストンマーティンの4ドアクーペ顔負けのスタイリッシュさだ。
走り味も凄く、前後重量配分50対50のFR車となってステアリングは上質かつ滑らか、乗り心地もソフト、コーナリングも破綻が全くないトップレベルのスポーティセダンへと進化。
内蔵パーツが多いという燃料電池車の問題も多少残っており、今回3本目の水素タンクを車内中央に配置した分、リアシート中央が盛り上がっていてそこは子供しか乗れないし、トランク容量も321ℓと全長5m近いセダンとしては小さめ。
価格は初代723万円台を大幅に下回るか
だが水素フル充填からの航続距離はWLTCモードで850kmとピュアEVのレベルを楽に超えているし、価格は未発表だが初代の723万円台を大幅に下回る予定で国からの補助金を付けると、400万円台で買える可能性がある。
となるとFRセダンのクラウンはもちろんレクサス、ベンツBMWユーザーもターゲットになるわけで、大幅顧客増加が見込める。また燃料電池車は別名「究極のエコカー」でもあり、知事や政治家の公用車として使われる可能性も大。
水素ステーションは全国130カ所程度とまだ少ないが、航続距離の問題はないし、いよいよ本格普及期へと近づくかもしれない。
いろんな意味で期待が大きい2代目ミライ。ぜひ世界で一番売れる燃料電池車になって欲しいものだ。