有森隆
著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

ユニゾHD<下>社長は「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男

公開日: 更新日:

 日本興業銀行(現・みずほ銀行)は、東京大学で最も優秀な学生しか入れない超エリート揃いの銀行だった。天下の大秀才が蝟集する興銀で、とびきりの“切れ者”と評されていたのが、ユニゾホールディングス社長小崎哲資、その人である。

 1976年、東大法学部を卒業、興銀に入行。故西村正雄興銀頭取の信を得て、旧興銀側の実務責任者として99年8月、旧富士銀行、旧第一勧業銀行との3行の経営統合を成就させた。

 2002年、3行の持ち株会社みずほホールディングス(HD)は不良債権処理で巨額の赤字を計上し、配当原資が枯渇する危機に直面した。事業再構築推進チーム委員長に就任した小崎は、みずほHDの親会社として、みずほフィナンシャルグループ(FG)を設立。持ち株会社を重ねる「二重持ち株会社方式」をひねり出した。グループ傘下の赤字企業をHD以外に振り分けることによって、HDの配当を実現した。

 03年、不良債権の急増で自己資本比率が8%割れ寸前となり、みずほFGは「一時国有化」が不可避となった。この時も、経営企画部長の小崎は、取引先3500社を引受先とする1兆円の奉加帳増資を敢行した。みずほの2度にわたる絶体絶命の窮地を救った強腕ぶりを買われ、04年、みずほFGの常務取締役に就任。これ以降、FGの最高実力者となった前田晃伸会長(旧富士銀出身)の懐刀として辣腕を振るう。

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