世界同時株安ひと息も…市場が怯える“中国リスク”の深刻度
米国発の世界同時株安は12日も続いたものの、東京市場の終値は前日比103円80銭高の2万2694円66銭に戻し、ひと息ついた。ニューヨーク市場も12日は反発、ダウ平均は同287.16ドル高の2万5339.99ドルで終了した。
だが、不安が去ったわけではない。トランプ米大統領が株安の原因だとして矛先を向けた米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ継続観測よりも、むしろ深刻なのは、いき過ぎた米中貿易戦争による「中国リスク」である。
最近、市場関係者をギョッとさせた米高官発言があった。10日付の英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、ムニューシン財務長官が人民元安に言及、中国が意図的に人民元を下げているとして為替操作国の認定をにおわせたのだ。ムニューシンは親中派とされてきたが、トランプや議会が対中強硬路線をとる中、同調せざるを得なくなってきているとみられる。
だが、なぜこの発言が市場関係者を震え上がらせたのか?
「中国は意図的に人民元を下げているわけではないのです。その逆で、資本の無秩序な流出を懸念していて、人民元安で輸出を支援する余裕などありません。とはいえ、米国に反論することもできない。うっかり当局の意図に反して人民元が下がっていると言ったら、当局が人民元をコントロールできなくなっていると暴露することになり、さらなる資本流出や通貨不安、株の暴落を招くことになってしまいかねません。加えて、米国の為替批判は中国国内の金融政策も制約しかねない。つまり、中国を追い込み、身動きできなくさせるような発言なのです」(経済評論家・斎藤満氏)