中折れ調査で透けて見える “妻だけED”&“夫だけNG”に共通する心の傷

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 夫婦は円満が一番で、各種調査では7~8割が円満と回答している。しかし、年を重ねれば、一つや二つ、トラブルがあっても不思議はない。性の不一致は、日本人の国民性として目を背けがちだが、重要な問題だろう。そんな中、中折れを巡る興味深い調査結果がある──。

 ◇  ◇  ◇

 好きな女性とベッドインして、ムスコが十分元気になったのに、挿入すると役立たずで……。そんな中折れについて調査したのが、ED治療を専門とする浜松町第一クリニック(竹越昭彦院長)だ。今年1月、20~50代の男女5200人を対象にインターネットでアンケートを行い、「中折れ(ED)とED治療薬の使用実態と意識調査2022」として3月発表した。

 それによると、中折れ経験者は全体の4割。年代別に見ると、20代は3.6人に1人、30代は2.7人に1人、40代は2.3人に1人、50代は2人に1人と、年齢が上がるにつれて増えるのはイメージ通りだろう。

 おじぎしたムスコを反映するように、「ガッカリする・残念な気持ちになる」(52%)、「男として情けない」(45%)、「相手に申し訳ない」(40%)と男性の気持ちも萎えている(複数回答)。

 ところが、その対策として「何もするつもりはない」がダントツの38%。根拠に乏しい「精力剤、漢方、サプリなどを使用する」も2割で、科学的根拠がある「ED治療薬を試す」は23%でしかない。女性への配慮を気にしつつも、対策のズサンさを生むギャップはどういうことか。セックスに関する相談窓口「せい相談所」代表のキム・ミョンガン氏が言う。

「中折れなどEDの原因は、ストレスをはじめとする精神的な影響のほか、勃起に関係する血管や神経の問題もあります。仮に後者が十分機能するとなると、ストレスや心理的な影響ということになります。そのストレスの原因が何かが、とても重要です。たとえば、仕事や友人など家庭外のトラブルが原因で妻が好きなら、『何もしない』という結論はないはず。『何もしない』がこれだけ多いのは、妻や彼女などパートナーそのものがストレス源になっている表れではないか。要は、相手から求められるのが重荷で、渋々応じているから、中折れになっているのです。そんな男性が対策を取ることはないでしょう」

「支障なし」の女性7割は実は早漏希望?

 それでも中折れ男性とのセックスに支障を感じた女性は3割にとどまるが、そのうち7割は不満を感じている。実は、この結果こそ、女性の心理を象徴するという。男女問題研究家の山崎世美子氏が言う。

「中折れに支障を感じた女性のうち7割が男性に不満を募らせるのは当然でしょう。では、『支障を感じていない』、あるいは『分からない』の7割近い女性が、そんな男性をねぎらってそう答えているかというと、必ずしもそうではないと思います」

 どういうことか。山崎氏が続ける。

「単刀直入にいうと、『ダンナの動きに合わせて演技しなくて済んでよかったわ』『早く終わってよかった』と内心、思っている女性が多いと思われます。私の女性スタッフ十数人に、早漏と遅漏どちらがいいか尋ねたことがあって、遅漏派はわずか1人。残り全員が早漏を望んでいました。その理由は、夫のセックスに対する演技の面倒くささです」

 なるほど、キム氏が指摘する“妻だけED”の夫が一部に存在するように、妻は妻で“夫だけNG”も少なからず存在するということだろう。そう考えると、夫婦で肌を重ねながら、夫の中折れに支障なし、分からないが多数派なのもうなずける。その中には、そもそも性欲の少ない女性もいるだろうし、“夫だけNG”もかなり含まれるということだろう。

夫は妊娠・出産でダメに。妻の要因は?

 それにしても、相手だけダメなのはなぜか。まず“妻だけED夫”について。

「妊娠・出産は、妻だけEDの大きな要因です。不妊治療では排卵日に合わせてセックスするタイミング法があります。そうすると、その前日や当日に妻からのアピールが強まり、それが重なるとプレッシャーになるのが一つ。もう一つは立ち会い出産で、分娩台に座る妻の子宮から赤ちゃんが生まれるシーンの生々しさにダメになるケースです。その2つをクリアして、3つ目があります。夫にとってパートナーが妻ではなく、子供に対する母として見えることがあるのです。もちろん、本当の母ではありませんが、そんな意識が芽生えると、夫は大抵、“妻だけED”になります」(キム氏)

 妊娠・出産の3つ以外には、妻の何げない言葉も夫の“妻だけED”を助長する。その点に加え“夫だけNG”の要因も含めて、山崎氏が女性側の視点を解説する。

「ある相談者の50代男性は妻と結婚して10年でした。子供はいませんが、晩婚で共働きだったこともあり、結婚1年くらいでセックスレスに。ところが、男性が帰宅すると、スマホを見ながら自慰行為にふける妻の姿を目の当たりにします。ムラムラして妻の体に覆いかぶさったところ、『あなたとはしたくないの。不潔』と猛烈に拒否されて対応に困ったのが、相談の理由です。おふたりを別々に呼んで話を聞くと、妻は『夫がヘタで、嫌だった』と言い、結婚後しばらくして夫を拒んだそうです。夫は夫で妻に『あなたのは痛いから嫌』と言われたのがショックで、妻から少しずつ距離を置いたといいます。夫を拒否する要因として、『不潔』や『汚さ』は多いのですが、その根底にあるのが『性的技術の未熟さ』です。そのいずれかを、時として妻が口にすると、夫はショックを受けやすい」

ひらがな2文字でさえトラウマになる

 “妻だけED夫”は、そうなった時点で「明日は朝が早いから」「仕事で疲れた」などと拒否するが、“夫だけNG妻”は拒否する前に演技の時間があるという。そんな妻もやがて夫を拒む。子供がいれば「子供のことで疲れてるの」「明日お弁当作らないと」などと子供にからめ、いなければ仕事や翌日の状況など当たり障りのない理由で拒否する。いずれにしても女性の場合、ベースにあるのは「セックスがヘタ」だという。

「ある相談者の40代女性は、夫のあまりの早さに図らずも『もう?』と声が出たらしく、夫はそのひらがな2文字がトラウマになって“妻だけED”になりました。潜在意識が言葉になるのは、早漏以前に前戯もダメなのです。実は、アンケートで遅漏を望んだ唯一の女性のパートナーは、早漏でした。その女性がいみじくもこう言っています。『前戯はすごく上手なんです。これでもう少し持続時間が長ければ最高なのに』というのが遅漏を望む理由です。『もう?』の女性は、男性のすべてが『もう?』だったのでしょう」(山崎氏)

「もう?」の女性はほかの事情も重なって離婚の相談に訪れたそうだが、“妻だけED夫”も“夫だけNG妻”も「離婚を考える人はせいぜい1割」と2人とも口をそろえる。解決策も重なり、話し合ってお互いに現状を打開しようと思うなら、「夫はまずED薬を試してみることです」とプッシュする。お互いレスのままでよければ、性欲がある方が外に相手を求めるのは「夫婦の合意や取り決めの上でアリかもしれない」という。

 話し合いで夫は、妻の演技を初めて知ったとしても怒らないこと。「その怒りっぷりに、妻の気持ちはより萎える」(山崎氏)そうだ。

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