「俺の妻としての評価と、母親との相性は別物ですよね?」悪化する嫁姑関係を傍観する42歳男性【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

公開日: 更新日:
コクハク

42歳、完璧主義者の母が誇り

「冷酷と激情のあいだvol.229〜女性編〜」では、コロナ禍が明けて義実家との接点が増え、義母の干渉に悩む加恵さん(42歳・仮名)の心情をお届けしました。加恵さんは義母との折り合いの悪さを理由に、離婚も考えるほど真剣に思い詰めています。
 では夫のリョウさん(42歳・仮名)は、今の夫婦関係や妻の不満を、どう捉えているのでしょうか。

【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

「ウチの母親はね、すごく厳しい人なんですよ。他人にもだけど、自分にも厳しい人。

 若い頃にとてつもなく成績優秀で、当時の女性にしては珍しい超難関の国家資格を取得しています。

 将来を期待されていた人材だったらしいんですけど、俺と弟を立派に育てるために仕事を辞めて、それからはずっと専業主婦なんですよ。

 母には勉強も教えてもらいましたし、『どこに出しても恥ずかしくない』ようにと、行儀作法についてはかなり厳しくしつけられました。子どものころは、反発もしましたが、今は感謝しています。

 そんなわけで、母親は家庭に入り、子育てに専念すべきという考えの持ち主。加恵とは価値観が根本的に違うんですよね」

 いわゆる完璧主義者の母親に育てられたことを、誇りにしているリョウさん。

 妻の加恵さんとは恋愛結婚でしたが、母親が加恵さんとの結婚を承諾したのは「奇跡的」と振り返ります。

【読まれています】初夜は入籍初日。再婚した夫の要求に絶望する39歳女性「まだ4カ月、でも離婚したい」

珍しく母が気に入った

「それまでは、どんな彼女を連れて行ってもダメ出しばっかりされていたので、どうせ加恵も認めないんだろうなって半分諦めていたんですよ。

 ところが会わせてみたら『妻にするなら、ああいう女性がいいんじゃないの?』なんて言い出して。それで俺は母親の気が変わらないうちに急いで加恵にプロポーズして、OKをもらいました。

 当時の俺は、結婚を焦っていましたからね。

 だけど“俺の妻として相応しい女性”かと、母親が加恵を人として気に入っているかというと、話は別なんですよ。

 母親は最近かなりイライラしていますね。42歳にもなって第二子を作ろうとしない加恵に対して、妻や母としての責任を放棄しているように見えるみたい」

 どこか他人事のように、母親と妻との関係を淡々と話すリョウさん。「俺はふたりのあいだには入りたくないし、入る気もない」と言います。

妻への文句が増えてきた

「そうそう。最近、母親から『思ったよりも頑固なお嫁さんね』とか『もうちょっと謙虚な女性だと思ったのに』とか…。加恵の文句が出る頻度が増えましたね。

 まぁ、もともと母親が心から加恵を認めるとは思っていないので、別にいいんですけどね。

 単純に、母親は能力のない女性が嫌いなんですよ。

 だからこれからも、母親と加恵がわかり合う日は来ないでしょうね。

 まぁそれはそれで仕方ないんですけど、俺は長男なので、いずれは実家と同居しないといけないんですよね。いざ同居となったときには、ちょっと揉めそうな気配はありますね…。

 まぁそのときになったら加恵には我が家について理解を深めて、合わせてもらうようにお願いするしかないかな〜」

 ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。

 まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

(並木まき/ライター・エディター)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    “かつての名門”武蔵の長期低落の深刻度…学習塾「鉄緑会」の指定校から外れたことも逆風に

  4. 4

    「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性

  5. 5

    論争になった“おじさんパーカ”より「生理的に無理」の声が出たビジネスシーンでのNGアイテムは?

  1. 6

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  2. 7

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  3. 8

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  4. 9

    日本で犬肉食の実態は本当にあるのか調査 デヴィ夫人新党が「犬猫食禁止法」成立を看板政策にブチ上げ物議

  5. 10

    鬼怒川温泉の渓谷に張り付く巨大廃墟群を探る…残された「バブル遺構」が物語るかつての栄華

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  2. 2

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  3. 3

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 8

    日本にむしろ逆風…卓球王国中国で相次ぐトップ選手の世界ランキング離脱と進む世代交代

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり