「アプリの出会いってスゲエ!」バリキャリ女性に求婚した50男の楽観と根拠なき自信【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
50歳。バリキャリ女性にベタ惚れ
「冷酷と激情のあいだvol.216〜女性編〜」では、交際半年の恋人・タカユキさん(50歳・仮名)からプロポーズをされたものの、結婚によって自身のビジネスセンスが鈍ることを不安に思い、結婚へと進めない優香さん(45歳・仮名)の心情をお届けしました。
40代半ばの優香さんは稼げるうちにできるだけ稼いでおきたい思いが強く、仕事を最優先にしたい価値観を持っています。そんな恋人に対してタカユキさんの気持ちは――?
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「優香さんって、すごくかっこいい女性なんです。僕にはないところをたくさん持っていて、フツーに素敵なんですよね。
あの人と一緒にいたら、ダメンズを自覚する僕でも何か変われるんじゃないかって気持ちがあって、それでプロポーズをしました。
あ、ダメンズっていうのは自虐ですよ? 僕なりの謙遜ですからね? そこまで僕はダメダメな男ではないから、勘違いしないでくださいね(笑)」
晴れやかな顔で、こう話すタカユキさん。新卒から同じ会社に勤務し、それなりの出世階段を登ってきたようですが…。
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形ばかりの役職
「今も社内に残る年功序列みたいなものに救われている部類かな。
役職はついていますが、形ばかりで権限はほとんどないですね。あってもなくてもどっちでもいいような役職です。
まぁ僕自身、給料がもらえるならなんでもいいかな〜って思いながら働いてきたんですけど、優香さんに出会ってからカルチャーショックというか…。
このままじゃヤベエなっていう気持ちが少しだけ出てきたんですよ」
身近な人に影響を受けやすい性格だと自覚をしていると打ち明けるタカユキさんは、婚歴のないままに50歳を迎えたばかり。
今までお付き合いをしたのは、社内にきていた派遣社員の女性や、行きつけのスナックでアルバイトをしていた女性でした。
新しいタイプの女性に出会えた奇跡
「自分で自分の人生を切り開くぞ! っていう女性と付き合ったことがなかったから、優香さんと出会って、そういう女性を身近で見て『アプリの出会いってスゲエ!』って感動しましたね。
奇跡的なこの出会いを逃すわけにはいかないから、早めにプロポーズをしなくちゃ! って思って、ついこの前ちゃんと優香さんに伝えました」
ところがタカユキさんの期待は大きく外れ、プロポーズはその場で承諾してもらえなかったばかりか、今もまだ優香さんから返事がもらえていません。
そんな状況を、タカユキさんはもどかしく感じているそうで…。
“決断力の女”だと思ったけれど
「優香さんって、普段はなんでもチャキチャキと決める決断力の女なのに、なんで結婚には慎重なんですかね?
バツイチだって聞いていますけど、そんなの関係ネェ〜! って感じですし、すぐに結婚をオッケーしてくれない意味がわかんないですね。
結婚をしても仕事は続けたいみたいな話は聞いていますけど、そんなのも、もちろん僕としてはオッケー牧場(筆者注:OKの意味。昭和時代に流行した言い回し)ですし、優香さんが僕のプロポーズを渋る理由なんてないはずなんですけどね。
いや、さすがに優香さんが僕にNOを突きつけてくる可能性は低いだろうって、僕だって思いますよ。
だけど待たされている期間って、ツライっすね。パッパと結婚しちゃったほうが精神的に安定できそうなんですけど。
優香さんを急かすと悪いから、とりあえず大人しくして待ってますよ」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)