「成人した娘から再婚を猛反対されるとは…」途方に暮れる58歳男の老後計画【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
58歳、娘の大反対に戸惑い
「冷酷と激情のあいだvol.212〜女性編〜」では、マチアプで知り合った恋人との結婚を恋人の娘に反対されている亜紀さん(47歳・仮名)の苦悩をお届けしました。
恋人・ノリアキさん(58歳・仮名)の娘は、すでに成人をしていて20代後半。自身も恋人と同棲をしていて、父親と一緒に暮らしているわけではありません。ノリアキさんは結婚に猛反対する娘を、どう受け止めているのでしょうか。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「今の展開は、僕にとって想定外でした。
普段から娘は『パパも早くいい人見つけて、幸せになりなよ〜』なんて言ってきていたのに。
実際に僕に恋人ができて、結婚をしようとしたら反対してくるなんて、夢にも思わなかったですよ」
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娘の自立を援助してきた
ノリアキさんは10年以上前に前妻と離婚。娘は前妻のもとで育ち、20代半ばからひとり暮らしを始めたそう。
ひとり暮らしの資金は、ノリアキさんが負担をして、娘の自立を応援してきたと話します。
そして、最近になって娘は恋人と同棲をスタート。このときもノリアキさんは、娘に家電や家具を買いそろえてあげたそう。
「思い返すと、僕はけっこう娘にお金を使っていますね(笑)。でも娘に対しては、僕が離婚をして寂しい思いをさせてしまったので、少々甘くてもいいと割り切っています。
彼女の亜紀さんも、そういうことに口うるさく言う人ではありません。僕が娘にお金を使っている様子を、何も言わずに見守ってくれています」
恋人より娘にお金を使ってきた
しかし娘に、亜紀さんと結婚を決めたとを話したあたりから、態度が急変。ノリアキさんは困惑していると言います。
「亜紀さんと結婚をするって言ったら、娘の顔色がみるみる変わったんですよ。
『パパの財産目当てなんじゃない?』って言い出して、僕が否定をしても、娘はまったく納得してくれませんでした。
確かに亜紀さんは資産を持っていないし、生活もそこまで余裕がありそうには見えません。
だけどこれまで僕に対してお金をせびってきたこともなければ、何か高額なものをねだられたこともありません。むしろ僕は亜紀さんと付き合ってからも、娘のほうにお金を使っているんですよ。
それなのに、亜紀さんとの結婚を猛反対してくるなんて本当に想定外でしたね」
恋人も娘もどちらも必要
すでに娘は成人しているので、反対意見を聞き入れる必要はないと思いながらも、結婚を強行できないとノリアキさんは打ち明けます。
「亜紀さんと結婚したいです。ですが、娘との縁が切れてしまうのも怖いんですよ。
ワガママに聞こえるかもしれないけれど、僕はこれから老後に向かって、少しでも“安心”を増やしておきたいんですね。
結婚相手を探していたのも、老後の安心のためだし、娘との関係を良好にしておきたいのも同じです。
だからどちらが欠けるのも、僕にとっては困るわけです。
僕はもうすぐ60歳です。安心材料をどれだけ多くしておくのかっていうのが、今後の人生のテーマになると考えているんです。
娘を説得するか、が納得する亜紀さんではない誰かを探したほうが早いのか。僕のなかでは、まだ答えが出ていません」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)