「ガルガンチュア」クレムリンで受賞したロシア民謡歌手に癒やされる

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「ロシア語でロシア民謡を、それも娼婦や物乞いのようなアウトカーストの人たちの曲を歌ったって金にならないの。だから、歌い続けるために店やってるのよ」

 そう笑うタンコさんは、モスクワのクレムリンパレスで開催された「シャンソン・ゴーダ(シャンソン・オブ・ザ・イヤー)」に日本人で初めて出場し、特別賞を受賞した知る人ぞ知る歌い手でもある。タンコさんに会うためにウクライナからやってきた女性客は、洗い物をするタンコさんの姿に「こんな大物歌手が皿洗いをしなくちゃならないなんてかわいそう……」と涙をこぼしたとか。

 偉ぶる様子はみじんもなく、アウトカーストの人々に心を寄せ、歌い続ける優しきタンコさん。「失敗したことがある人は好きよ」とほほ笑まれ、スネに傷を持つ身である自分も救われる気がした。

(ライター・塩澤真樹)

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