田中幾太郎
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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

医学部に内部進学できるのはどんな学生か?「塾高」の進学枠もかつてより減少し…

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 夏の甲子園で107年ぶりの優勝を果たした慶応義塾高校(通称「塾高」)。4カ月近くたった今もOBたちの興奮は冷めず、60代の慶応大文系教授は同級生と一杯やれば必ず「慶応の応援歌『若き血』を合唱してバンザイで締めくくる」と話す。

 この塾高、かなりのマンモス校。1学年18クラスもあり1クラス40~43人。全校生徒数は2200人にもなる。男子校なのですべて男である。文系教授が在学していた70年代後半は2400人いた。

「私より15歳以上、上の世代になってくると1クラス50人超。その時代も1学年18クラスだったので2700人を超えていた。当時の東横線は朝の時間帯、下りでも塾生たちでラッシュになっていたそうです」

 現在は慶応付属中学の普通部(1学年235人)や中等部(男子150人)からの内部進学に加え、一般入試による生徒が330人。推薦入学枠も40人設けている。

 塾高のもうひとつの特色は毎年、相当数の留年者が出ることだ。清原和博氏の次男で甲子園の優勝メンバーの清原勝児内野手も高1を2度やっている。練習に打ち込みすぎてわずかに単位が足りなかった。現在2年生だが、規定で来年は公式戦に出場できない。

「けっこう当たり前に落第するので、みんなそれほど深刻にはとらえていない」と話すのは20代OB。たとえ留年しても「よほどのことがない限り」ほぼ全員が慶応大に内部進学する。“よほどのこと”とは2年続けて落第するケースだ。そうした生徒には「おっぽり」(=おっ放り出す)と呼ばれる退学処分が下される。以前はわざと留年する生徒も。

「医学部への内部進学の権利を得るために3年生の途中で休学届を出して留年する生徒が同級生の中にけっこういた」と証言するのは前出の文系教授だ。70年代後半、私大最高峰の慶応大医学部に塾高から内部進学できるのは28人。理系の成績上位者から埋まっていき、見込みがなさそうだと判断すると、その年はあきらめ翌年に勝負を懸けるのだ。「由々しき事態に学校側も82年度以降こうした医学部留年を一切認めないようにした」(塾高関係者)という。

 現在も医学部は理系の1番人気だが、塾高からの内部進学枠は22人に減っている。90年代以降に開校した慶応付属の新設校に割り当てられたためだ。塾高以外の医学部内部進学枠は志木高7人、湘南藤沢高7人、女子高5人、ニューヨーク学院2人となっている。

「各校の生徒数に応じて決めている。これ以上、内部進学枠を増やしてしまうと外から優秀な学生がとれなくなってしまうので妥当なところ」と慶応大医学部教授は話す。

「医学部への内部進学はクラスで1番の生徒がやっと獲得できるかどうかのプラチナチケット」(20代OB)というのが現実。塾高の入試(2月10日)まで2カ月を切ったが、そこから先にもまだ激しいバトルが待っていると想像すると気が重くなる。



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