北海道白糠町のブリ水揚げは4300キロ「今日は今年最高だな」と船長
9月中旬、夜明け前の3時半。漆黒の闇を出漁準備の漁船の明かりが照らし出している。アキアジ(秋に取れる鮭)の定置網漁にブリが大量にかかっていると聞き、漁に同行するため向かった白糠漁港。真っ暗な空に稲妻が走り、雷鳴がとどろく。富山湾では初冬の雷はブリを誘い出し豊漁の前兆となるという。場所、時季は違うが、今日は豊漁になるのだろうか。
「そろそろいくよー」
第三十一宝永丸の船長・木村太朗さん(39)の声を合図に乗船、沖合を目指す。25分ほどで漁場に着く。海の男たちが一斉に動き始める。網を手繰り上げる作業に取り掛かったのだ。船頭の指示の下、チームワークでてきぱきと網を上げていく。波に揺れながらの作業である。横殴りの雨が頬を打つ。やがて最初の箱網が姿を現した。
いるいる。大量のブリが跳ねてバシャバシャと水しぶきを上げる。船に引き上げ、大型のブリを仕分けし、それ以外は船倉の水槽に。大型のブリは船上で生け締めの処理を行う。「極寒ブリ」用だ。
ほどなく、木村さんが手に大きな物体を持って近づいてきた。