介護離職を防ぎたい…「顧問介護士」生みの親が明かす協会設立の苦境と起死回生
日本顧問介護士協会の石間洋美代表理事
介護離職が社会問題になっている。厚生労働省の雇用動向調査によると、2021年に介護を理由に仕事を辞めた人は約9万5000人。その中心は40~50代の働き盛りだ。仕事を失えば生活の基盤が危うくなるし、職場の穴を埋めるのも大変。個人にとっても企業にとっても頭の痛い問題なのだ。そこに一石を投じようと、2020年に誕生したのが「顧問介護士」だ。生みの親である日本顧問介護士協会代表理事の石間洋美さんはこう言う。
「顧問介護士は、従業員やその家族の介護問題について相談やアドバイスを行う、仕事と介護の両立支援の専門家のことです。多くの人は介護問題について事前に考えず、その結果突然介護が必要になったときに慌ててしまい、手が回らなくなり、仕事を辞めざるを得ないケースが多いのです。そうした状況を未然に防ぐため、どのような準備や対策が可能かを、企業顧問という立場で従業員にアドバイスします」
介護が必要になった際にも、介護と仕事の両立がスムーズに行えるようサポート。例えば、介護保険の活用方法や施設選び、費用負担の相談なども含まれる。
「既存の顧問弁護士や顧問会計士のように、企業が外部の専門家に介護相談をアウトソースするのが当たり前になってほしいと思い、顧問介護士と名付けました」
介護現場に20年近く携わってきた石間さん。顧問介護士を思いついたのは、ある会社役員との出会いがきっかけだ。