岡田彰布監督に見る「夫婦力」の強さの秘密…陽子夫人こそが阪神優勝の“陰の立役者”
18年ぶりの阪神優勝でそのチーム力の強さがクローズアップされる一方、もうひとつ注目されていることがある。岡田彰布監督(65)と陽子夫人(64)の夫婦力だ。陽子さんは毎朝、スポーツ5紙に目を通し、夫のコメントをチェック。選手への批判が厳し過ぎるときなどは、夫をたしなめることもあるという。阪神の結束力の固さの裏に、陽子夫人アリである。
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2人が結ばれたのは、1982年。俳優の石坂浩二、浅丘ルリ子夫妻らに見合いを勧められたのがキッカケだ。
以来、陽子夫人は野球人の夫を支えてきた。阪神ファンでなくても聞き覚えがある「A.R.E.」の誕生についても、陽子夫人のアイデアが生かされていると日刊スポーツの手記で伝えられた。手記にはこう記されている。
「“オカダの考え”を反映させたのがスローガンの『A.R.E.』です。広告代理店に勤務する妹に相談を持ちかけて完成しました。特に“R”(リスペクト)には、技術だけでなく、伝統を継承する意味のメッセージを込めたつもりです」
夫が帰宅すると、食事などでの体調管理はもちろん、晩酌時は夫の野球論にも耳を傾けた。毎朝のスポーツ紙チェックはその一環でもあり、夫の選手批判が目に余るときは夫をたしなめ、それで優勝が視野に入ってからは夫の選手批判も減り、チームの結束力も強まっていく。
さらに陽子夫人は英語が堪能で、夫が現役時代の83、84年のマウイキャンプ中のオフには、バース一家との通訳を務め、岡田とバースは家族ぐるみの付き合いになっている。
陽子夫人なくして、野球人岡田ナシ。18年ぶり阪神優勝の“陰の立役者”は陽子夫人といってもいいかもしれない。岡田夫妻の夫婦力は抜群だ。
男女問題研究家の山崎世美子氏が言う。
「陽子夫人のサポートを昔の言葉で表現すると、内助の功になると思います。しかし、そんな妻の支えを受けた男性が、必ずしも岡田監督のように出世して、成功するとは限りません。それがアダとなって共倒れするケースもあるのです」
内助の功を受けて共倒れとは、どういうことなのか。成功するケースも含めて、その分かれ目を詳しく聞いた。
陽子夫人は「選手に対して厳しいことを言い過ぎたらダメですよ」と夫をたしなめ、夫の岡田は夫人のアドバイスを受け入れたからこそ、マスコミでの選手批判を減らすことにつながった。それで選手との関係が良好になっている。
「献身的な妻のサポートを見て、感謝して努力できる夫はいい。しかし、それが当たり前だとふんぞり返る夫は、当然、態度にあらわれます。そのひとつが会話です。自分がテレビなどを見ているときに妻に話しかけられると、内容も理解せずに生返事だったり、無視したり。それで妻に『話、聞いてる?』などと問い詰められると、逆ギレしたりします。岡田監督のように陽子夫人の言葉をきちんと受け止め、行動に移せる人との違いは歴然です」
明治安田生命が11月22日のいい夫婦の日にちなんで行っている調査の2018年版では、夫婦間の不満について質問。8割の妻が夫に不満を持っていて、「夫婦円満グループ」と「円満ではないグループ」のギャップを見ると、「話を聞いてくれない」が「気が利かない」に次いで2位にランクされている。
■松下幸之助は妻の言葉でリストラを封印
松下電器の創業者・松下幸之助は、妻むめのと見合い結婚。妻は創業当時、経理や事務を担当したほか、住み込みで働く社員の食事も作りながら、2人の子供を育て上げた。社員も家族同然だったが、経営危機に直面。幸之助は幹部からリストラの提言を受けたが、妻むめのに「住み込みで一緒に毎日を過ごしてきた店員を切ることは、絶対にしてはなりません」と一喝され、リストラを封印。
その後、「一人たりとも社員を解雇せず、給与も全額支給」を決断したとするエピソードが残っている。