録音はあなたの身を守る…奈良県警本部による巡査長への違法取り調べ裁判の教訓
先月31日、奈良地裁で警察官による自白強要とパワハラを断罪する判決が下されました。
奈良県警察本部は、実際には盗まれていなかった銃弾を男性巡査長が盗んだ疑いがあるとして、その巡査長に対し「おまえしかおらん」「どうせアウト」などの発言を繰り返し、自白を迫るような取り調べをしていたようです。巡査長は、取調官の違法な取り調べによりうつ病を発症したとして、県に損害賠償を請求。裁判所は、取調官の取り調べは違法であると判断し、約356万円の損害賠償を認めました。
今回、巡査長は、取り調べの状況をひそかに録音していました。音声データは発言者が明らかになれば、裁判において有力な証拠のひとつになります。このような証拠があったため、違法な取り調べであったと認められた可能性が高いでしょう。反対に、このような証拠がなければ、県側は「そんなこと言っていない」などと嘘をつき、ウヤムヤになっていたかもしれません。
巡査長が取調官から取り調べを受けるという構造は、会社内でトラブルが生じた場合に社員が上司からヒアリングを受ける構造に類似しているといえます。ヒアリングの内容によっては、それがパワハラになるケースもあるでしょうが、裁判ではパワハラの証拠は、受けたと主張する側が提出しなければなりません。