岸田政権が目論む退職金増税…「骨太の方針」に盛り込み“取れるところから取る”がミエミエ
あと数年で定年退職──というビジネスパーソンは、愕然としているのではないか。岸田内閣が「退職金増税」を打ち出したからだ。
岸田内閣が7日に発表した「骨太の方針」の原案に、「成長分野への労働移動の円滑化」のためという名目で、退職所得課税制度の見直しが盛り込まれているのだ。
退職金は、所得税の課税対象となっているが、現行制度では「退職所得控除」によって税負担が軽減されている。「退職所得控除額」は、勤続年数によって決まっていて、勤続年数が長いほど優遇されるルールとなっている。とくに20年以上勤めると、控除額が一気に大きくなり、受け取れる退職金も増える。
ところが「骨太の方針」原案は、同じ会社に長く勤める人ほど優遇される現行制度は「成長分野への労働移動の円滑化」を妨げていると指摘し、見直すべきだとしているのだ。見直しされたら、勤続年数の長い勤め人は、実質「増税」となるのは明らかだ。「骨太の方針」は、自民党と調整し、16日に閣議決定される予定だ。
しかし、突然、ルールを変更するなど許されるのか。「退職金増税」によって、手元に残る金額が想定より減ったら、退職後の人生設計が狂う人も出てくるに違いない。それに「退職所得控除」が、本当に「転職の阻害要因」になっているのか、因果関係もハッキリしない。