知られざる「ツバメの巣」最新事情 不老長寿の高級食材を自ら採取する日本人に聞いた
稲冨幹也さん(エムスタイルジャパン代表)
「ツバメの巣」といえば中国の高級食材として知られるが、中国の経済発展とともに取引は拡大、現在は1兆円市場といわれる。そんなツバメの巣を自ら採取し、コスメブランドを展開しているのがエムスタイルジャパン代表の稲冨幹也氏だ。知られざるツバメの巣の最新事情とは?
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──ツバメの巣とは?
ツバメにもたくさんの種類がいますが、食材になるのはアナツバメの巣だけです。中国料理で使われますが、採れるのは東南アジア、特にマレーシア産が最高級とされています。アナツバメは繁殖期になると口から繊維状の粘着物質を吐き出し、毒グモや毒ヘビからヒナを守るために、高い岩壁に巣を作ります。この巣に含まれるアナツバメの唾液に、古来特別な栄養成分があると珍重されてきました。そのきっかけとなったのが2000年前、東南アジアで難破した中国船の乗組員がツバメの巣を食べて飢えをしのぎ体力を回復させたという逸話です。そしてツバメの巣を愛用したことで有名なのは楊貴妃。不老不死・不老長寿の妙薬として食べていたといわれています。
近ごろは中国の経済発展に伴い、年120%の成長率でツバメの巣市場は大きくなっており、末端の取引額は1キロ200万~300万円ともいわれています。10年前の約3倍。まさにツバメの巣バブルという状況で、中国では共産党幹部がツバメの巣でもてなしを受けたら贈収賄罪になるという法律ができたほどです。