政府はヤル気あるのか? 熱中症対策計画「2030年までに死者半減」閣議決定の生ヌルさ

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「2030年に熱中症による死亡者数の半減を目指すという高い目標を盛り込んでいる」──30日の閣議後会見で所管の西村明宏環境相はそう胸を張ったが、ちっとも「高い目標」じゃない。

 政府は4月末に成立した改正気候変動適応法に基づく「熱中症対策実行計画」を初めて作成し、30日閣議決定。計画期間はおおむね5年間で関係府省庁が連携して今夏から対策を強化するというが、掲げた目標は「死者半減」だ。なぜ「ゼロ」を目指さないのか。

 熱中症による死亡者数は昨年までの5年間平均で1295人と1000人超えの状況が続く。すでに今年も猛暑日を記録。5月1~21日の熱中症による救急搬送者は全国で2566人と昨年同期間の1042人に比べ、約2.5倍も増えている。

 今年の夏も酷暑が予想される中、熱中症対策は待ったナシだ。国民の命と健康、暮らしを守る責任を持つ政府が「30年に半減」の目標とは生ヌルすぎる。熱中症死者の半分は「亡くなっても仕方ない」と放置しているに等しい。

 半減のどこが「高い目標」なのか。どうして「死者ゼロ」を掲げないのか。計画立案に関わった環境省の熱中症対策担当者に聞いた。

「今回の計画は4月の法改正により、初めて法令に裏づけられた措置。21年に関係省庁が任意で策定した従来計画の『早期に年間死者数1000人以下にする』から目標を引き上げました。なぜゼロを目指さない? 温暖化や高齢化が進む中、実現できるのかという考え方もあり、現実的な状況を踏まえました。特にゼロを目指せという議論はなかった。まずスタートは足元を固め、しっかり対策を進めようという発想です」(環境保健部環境安全課)

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