岸田首相「会期末解散」戦略は完全パァ…東京28区めぐり公明が自民にブチ切れの深刻度
亀裂は決定的だ。次期衆院選の「10増10減」に伴って新設される「東京28区」をめぐって、自公双方が独自候補擁立を主張しモメていた一件。公明は25日の常任役員会で、擁立を断念するとともに、東京の小選挙区(全30選挙区)では自民候補を推薦しない方針を正式決定し、自民に伝えた。公明の選挙協力がなくなれば、当選が危うくなる自民党議員はゴロゴロいる。岸田首相は「自民党幹事長らに丁寧な対応を指示した」と慌てていたが、これで早期解散どころじゃなくなってきた。
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公明の決定は東京の自民との“関係断絶”に近い。東京では衆院選で自民候補を推薦せず、公明候補の推薦も求めないだけでなく、都議選や東京の首長選、都議会での協力も解消するという。公明の石井幹事長が「東京における信頼関係は地に落ちた」とまで言うのだから尋常ではない。
自民の茂木幹事長の求めに応じて、30日にも再び幹事長会談が行われることになったが、石井氏は「方針を一切変えるつもりはない」と言い切った。
選挙を考えれば、さすがにどこかで折り合うかと思われたが、そういう空気ではないようだ。
「20年以上連れ添ってきて夫婦ゲンカはしょっちゅうあったが、今回は妻が実家に帰ってしまった状況。もとのサヤに収まるのか、それとも離婚か。どっちに転んでもおかしくない」(公明関係者)
ここまでこじれたのは、東京28区の問題だけじゃないらしい。
大阪・兵庫で維新との選挙協力が期待できなくなり焦っている公明は、「10増」選挙区に望みをつなぎ、東京では2つの選挙区での擁立を模索してきた。ところが、公明サイドの説明によれば、区割り変更にともない東京12区から29区に移る公明現職の擁立についても自民はなかなか容認せず、自民の都連幹事長が「たとえ党本部が公明候補を推薦しても、地元の自民は無所属の自民系候補を応援する」とまで通告してきたという。
こうした軋轢が重なり、公明は頭に血がのぼってしまったわけだ。