高齢者を狙う特殊詐欺はなぜ減らない? これがリアルに会わずにダマす手口だ
特殊詐欺はもはや社会問題。自分だけは騙されないと思っていても騙されてしまう。有効な対策はあるのか。
「80歳の父がAmazonのギフト券を買いにコンビニに行くというので、問いただしたところ、どうやらスマホを使っているうちにフィッシング詐欺にひっかかっていた。一度は止めたのですが、私の知らない間にまた支払っていました。それでスマホを取り上げたら、ものすごく怒られた。繰り返さないか不安です」
そう話すのは千葉県在住の50代男性。フィッシング詐欺はメールアドレス、クレジットカード情報など経済的価値のある情報を盗む(釣り上げる)詐欺。この情報をもとにデジタルに疎い高齢者が狙われる。
このような特殊詐欺(振り込め詐欺)はオレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺など、電話やPC、スマホを利用し、非対面で金銭などを振り込ませるのが特徴だ。警察庁の調べによると、昨年1年間の特殊詐欺の認知件数は1万7520件、合計被害額は361.4億円。泣き寝入りや、いまだに被害者が詐欺と気づかず届け出のない件数はここに含まれていない。
直近の統計である23年1月には認知件数1335件に対して既遂(犯罪が成立したもの)は1298件。被害総額は29.2億円だった。昨年の統計を見ても毎月1300件から1900件の認知件数があり、おおよそ毎月30億円程度の被害が生じていた。つまり直近の数字は昨年1年間と比べ平均的であり、特殊詐欺が減少しているとは言い難い。また東京、神奈川、大阪、千葉、埼玉など人口の多い都市部や周辺での犯行が多い。