全国旅行支援延長の不可解…巨額税金投入が生む「2つの偏り」で格差はさらに拡大か
政府がコロナ禍で疲弊した観光業界の需要回復を後押しする「全国旅行支援」が4月以降も延長されることになった。すでに日本人の旅行需要は新型コロナ前の水準まで回復してきているとみられるが、観光業支援はいつまで続くのか。
観光庁が今年1月に公表した2022年11月の「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」によると、国内主要旅行会社43社およびグループ会社の商品取扱額は約3083億円となり、前年同月比で76.9%増加した。
また、同庁の「旅行・観光消費動向調査」(2月15日速報)では、22年10~12月期の「日本人の国内旅行消費額」は、宿泊旅行消費額が4兆972億円と前年同期比53.6%増加。コロナ前の19年同期比でも4.5%増加している。
■コロナ禍で疲弊した業界は他にも
こうした観光業の需要回復には政府の強力な後押しがある。20年7月にスタートした「GoToトラベル」事業以降、巨額の税金をつぎ込んできたのだ。
「GoTo事業では、度重なる補正予算で総額約3兆円の予算が計上されています。このうち約1兆4400億円がトラベル事業の対象になりましたが、コロナ禍の拡大による一時中止などで使われたのは7200億円でした。さらに地域観光事業支援で約3000億円の県民割を自治体に支援しています」(観光庁旅行振興担当者)