バブル崩壊の焼け跡で生まれた「デフレ型犯罪」…特殊詐欺グループを結成し現金を求める
全国で起きている特殊詐欺の源流といわれる旧五菱会(現・山口組清水一家)系ヤミ金組織「カジック」は、2000年代初めに警察の摘発によって壊滅させられるまで、被害者から法定上限の数十~数百倍もの金利を取っていた。犯罪収益は1000億円ともいわれ、被害者は少なくとも4万人以上、実際にはその数倍との見方もある。
当時、ヤミ金が増殖した背景には日本経済の減速があったといわれる。
「昔は一時的に資金繰りが厳しくても、金利の高い借金をして粘る中小企業が多かった。ところが1991年のバブル崩壊に90年代末の金融危機が続いたことで、『無駄な抵抗』をせず廃業する経営者が増えた。必然、事業者相手の街金融も商売に行き詰まり、ドロップアウトした面々が違法な高金利の小口金融に走った」(元街金融業者)
だが、そうして誕生したヤミ金の多くは小規模で、カジックの巨大さは例外中の例外だった。
ヤクザの組織力が生んだものだと見ることもできるが、「あれは本来、ヤクザのやり方ではない」と語る組幹部もいる。