総務省文書の“場外乱闘”いつまで?「次の焦点」は高市早苗氏と安倍元首相の直接やりとり
放送法の解釈をめぐる総務省の行政文書を「捏造」と断じ、野党議員に「質問するな」とトンデモ答弁を展開していた高市経済安保担当相。20日の参院予算委員会で委員長から「議員の質問権を否定するのは大きな間違い」と叱責され、答弁の撤回に追い込まれた。さらに、文書を調査中の総務省からは「捏造という認識はない」と高市氏の発言を否定する答弁が飛び出し“詰んだ”も同然だ。
しかし、高市氏の言動は大問題だが、事の本質は大臣の態度や行政文書の正確性ではない。行政文書が作成された2014~15年当時の安倍官邸と総務相だった高市氏が一緒になって放送法をねじ曲げ、気に食わないテレビ番組への介入を可能にしたことだ。
総務省は従来、放送法の政治的公平性について「番組全体を見て判断する」と解釈してきたが、高市氏が15年5月の国会答弁で「一つの番組でも判断できる」と事実上、解釈を変更。この過程に安倍元首相や高市氏の意向がどれだけ働いたのか――それこそが問われるべき問題だろう。
実際、安倍元首相と高市氏は特定の番組を目の敵にしていた可能性が高い。その一端を示すのが、15年3月9日付の〈高市大臣と総理の電話会談の結果〉と題された総務省の行政文書。放送法の政治的公平性について、高市氏が安倍元首相に電話したと記され、安倍元首相が「今までの放送法の解釈がおかしい」と発言したことや、実際に問題意識を持っている複数の番組を例示したと記載されている。