引っ越しトラブルを未然に防ぐ 悪質業者&クレーマー事例集…古いTVめぐり押し問答の顛末
新生活に向けて引っ越しシーズンの真っただ中。ところが、その引っ越しにまつわるトラブルが後を絶たない。国民生活センターには作業中に荷物を破損、紛失されたといった相談が相次いでいる。もっとも、その一方で「それはいくら何でも」という運送事業者泣かせのクレーマーの存在も見逃せない。
◇ ◇ ◇
〈引っ越し業者がパソコンモニターが入った段ボールを雑に扱ったためモニターの足が壊れた。補償してほしい〉
〈引っ越しの際、作業員が遅れて来たので予定時間を過ぎても荷造りが終わらず、残りは自分で行うように言われた〉
国民生活センターに寄せられた苦情相談の一部だ。こうしたトラブルを未然に防ぐため、国交省は「かしこい引越」というパンフレットを作成して注意喚起している。
引っ越しは毎年3月中旬から4月初旬がピーク期間となり、引っ越し業者も大忙し。作業員は1日に2~3件を掛け持ちすることも珍しくない。
パンフレットでは「冷蔵庫は前日にプラグを抜いて霜取りを行う」「洗濯機は水を抜き排水ホースに水が残っていないか確認する」といった基本情報のほか、パソコンなど電子機器の取り扱いは事前に運送事業者に相談し、データ消失は原則補償の対象外になるのでバックアップしておくことを勧めている。
「最近の事例としては、ポストに入ったチラシを見て廃品回収業者に引っ越しを依頼し、トラブルになるケースがあります。引っ越しの際は必ず『引越安心マーク』のある運送業者に依頼してください。また、お金にまつわるトラブルを防ぐには、電話やインターネットの見積もりだけで運送業者を決めるのは避けてください。疑問があれば見積もりの担当者に質問し、『家具の組み立てはどうか』『テレビの配線はしてもらえるのか?』などと打ち合わせた内容を必ず見積書に記載してもらってください」(全日本トラック協会担当者)
破損のおそれのある家電や家具類は事前に現状の写真を撮影しておき、荷物の紛失についてはリストを作っておきたい。「梱包お任せ」のサービスを利用する際でも、作業終了後にすぐに点検しておくことが大事だ。1カ月後に段ボール箱を開けて「あれがない」「これが壊れていた」と言ってみても遅すぎることになる。
国が定めた標準引越運送約款では、「家具の破損について消費者が申し出る期間は引っ越し荷物を受け取った日から3カ月以内」(国民生活センター)とされているのだ。