明石家さんまや松本人志の「頭の回転の速さ」を盗め!NSC講師・本多正識さんが秘訣を伝授
あるテレビ番組で、人間の脳は出会ってわずか0.5秒で恋人枠か、友人枠かを判断するという話になった。出演者一同が「ヘ~」となる中、司会の明石家さんまは「広末涼子は(恋する)5秒前には判断しとるからね。脳科学を超えとる」と切り返し、大爆笑をさらっていった。さすがとしか言いようがない。こんな芸当は真似できないものなのか?
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芸人はなぜあんなに頭の回転が速いのか? その秘密を解析した本が「1秒で答えをつくる力」(ダイヤモンド社)だ。著者の本多正識氏は日刊ゲンダイの連載「お笑い界 偉人奇人変人伝」でも健筆を振るっているが、本業は漫才作家で、「オール阪神・巨人」などの台本を担当したほか、NSC吉本総合芸能学院で講師も務めている。ナインティナイン、キングコング、ダイアン、かまいたちなど約30年間で1万人の生徒と関わってきた。
「芸人の評価は〈たった1秒〉で決まります。ネタ、話し方、立ち居振る舞いなど、お客さんに1秒で〈もう少し見てみたい〉と思わせなくてはなりません。これまでたくさんのお笑い芸人の卵を見てきた中で、1秒で輝くものを表現できた生徒が4人いました。ナインティナインの岡村隆史くん、キングコングの西野亮廣くんと梶原雄太くん、そして友近さんです」
本書のタイトルである「1秒で答えをつくる力」のある人たちだが、本多氏は「とはいえ、常におもしろい人はいない」と話す。
「ひとを笑わせるというのはとんでもないこと。私はおもろい台本は書けますが、人前ではようしゃべりません。では、お笑いのプロたちがどんな準備をして舞台に立っているのか? それを知ることでビジネスにも生かせるはずです」
明石家さんまは、あまりにレベルが違い過ぎる気もするが、本多氏は「頭の回転の速さは後天的につくられる」としてこんな例を挙げる。
「最初から頭の回転が速い天才型はごくまれです。多くの芸人は訓練に訓練を重ね、少しずつ頭の使い方を覚えていきます。南海キャンディーズの山里亮太くんに『山ちゃんは努力の天才だった』とメールしたことがありましたが、山里くんはNSC時代に〈自分の書いたネタノート〉〈私のアドバイスが書かれたノート〉〈私のアドバイスと自分のネタの改訂版のノート〉の3冊を常に用意していました。あんな熱心な生徒は後にも先にもいません。彼は分からない言葉や知らないことがあったら〈すぐに調べる〉。居酒屋でお酒を飲んでいても、知らない言葉が出たらトイレに立つふりをして調べることを若手時代から続けているのです」